山下 遥(やました はるか)
法政大学経営学部市場経営学科所属。高校ではチアリーディング部、大学ではダンスサークルに所属。また、ゼミで実践的にマーケティング・商品企画を学んでいた。内定先は吉本興業ホールディングス株式会社。
『この業界・会社に入るために、一生懸命頑張ってきたはずなのに。どうしてうまくいかないんだろう。』
業界研究やOB訪問にインターン。これでもか!という程に準備を重ねてきたはずなのに、選考で落ちてしまう。就活をする中で、そんな悔しさを感じた経験はありませんか?
今回は、元・広告志望就活生として活動していた、吉本興業ホールディングス株式会社内定者の山下遥さんにインタビュー。
大学1年生の頃から広告業界に憧れて準備を重ねた山下さんですが、大学4年で「やりたいことの本質」に気づき、今の内定先へと方向転換!今回も、現役就活生である私がOB訪問のごとく話を聴いて参ります!
マスコミをメインに就活をスタート

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勝俣
本日は、よろしくお願いします!
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山下
よろしくお願いします。
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勝俣
さっそくなのですが、就活はいつぐらいから始めましたか?
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山下
明確ではないけれど、2年生の夏ぐらいからです。1年生の4月からマスコミ向けの大学の講座に通っていたのですが、インターンを応募し始めたのは2年の夏か秋ぐらいです。
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勝俣
準備万端ですね。就活が本格化されてからも、マスコミ業界を中心に見られていたのでしょうか?
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山下
はい。マスコミの、特に広告業界をメインに見ていました。一応、エンタメや出版も見ていましたが。ただ、最初はとにかく広告業界に入りたくて、電通、博報堂を目指して就活をしていました。
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勝俣
そうなのですね。ちなみに、どんなことがしたくて広告業界を強く志望されていたのでしょうか?
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山下
ザックリと、自分がつくったものや楽しい企画で世の中に影響を与えることがしたいと思っておりまして。それに1番当てはまると感じたのが広告でした。
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勝俣
なるほど。前々から志望動機をハッキリさせたうえでの選択だったのですね。
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山下
はい。そういうことが1番できるのが広告業界だと思っていました。ただ、後にそれが、完全なる勉強不足だったということに気がついたんですよね。
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勝俣
えっ!?勉強不足、というと…?
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山下
私のやりたいことの本質は、「企画」や「世の中に影響を与える発信」だったのですが、そういうことが1番できる会社が広告代理店だと勝手に思っていた部分があったんです。強い憧れを持っていたんですよね。大学2年生ぐらいから、ずっと。
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山下
でもそれって、テレビや出版、それこそお笑いのプロダクションなど広告以外の会社でもできることじゃないですか。なので、ほかの業界でできる仕事をよく調べずに、広告って漠然と決め込んでいたな、と今では反省しています。
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勝俣
なるほど。広告に一目惚れして以来、ずっと熱中されていたのですね。
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山下
そうなんです。憧れがすごく先行したかたちになっちゃったので、とても盲目な就活をしていました。
広告への盲目的な恋
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勝俣
「盲目」と仰っていましたけれども、そう気づいたきっかけは何でしたか?
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山下
私が夢から覚めたのは、本命だった電通の本選考に落ちた瞬間でした。
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山下
電通に関しては、夏のインターンなどで社員さんとお話しするうちに志望度がすごく高まっていたのもありまして、当時は他のことをが手につかなくなるくらい辛かったのを覚えています。2月も電通、博報堂の方に毎日のようにOB訪問をしていたのですが…ちょっとうまくいかずで。
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勝俣
そうだったのですね。あんなに広告業界に強い意志を持たれていたのに…。
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山下
そうなんです。しかし落ちた理由を、今なら納得できます。なぜ他の業界じゃなく広告業界なのか。その中でもなぜ電通がいいのかという理由が、「好きだから」で終わってしまっていたんです。
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勝俣
なるほど。「好き」のもっと奧にあるものが、大事だったのですね。
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山下
そう。恋愛における「好きな人」にも同じことが言えると思うんです。ただ熱狂的に「好きだ」と言うより、「なぜこんなにも好きになってしまったのか」「なぜ私たちは付き合うべきなのか」を伝えるほうが、成功率が上がる気がしませんか…?
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勝俣
確かに言われてみるとそうですね…!
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山下
なのでそこからは、まだエントリーが間に合うところで、テレビとか、出版社とか、それこそ吉本みたいなエンタメ会社も視野に入れて広く受け始めたという感じです。
根っこにあるのは「企画がしたい!」
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勝俣
その広告への恋から醒めてから、最初に仰っていた「企画がしたい」という軸をどのように引き出せたのでしょうか?自己分析をどんなふうに進めたのか気になります。
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山下
「企画」という言葉を知らなかったけれども、小学生ぐらいの頃から何かを考えて、誰かを巻き込んで一緒にすることがすごく好きだったんです。たとえば、友達とお店屋さんごっこをするときに、「どんなお店だったら面白がってくれるだろう…」と自分で考えたりしていました。
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山下
そういった行動の積み重ねからか、高校でも友達と旅行する際のプラン立てや幹事を担ったり、誕生日のサプライズを考えたり。なんとなく「好きだな」と自覚してやっていたことが、改めて言葉にするなら「企画」だと気づいたんです。
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勝俣
なるほど。必死に悩んで見つけたというよりかは、昔からの自分の行動に一貫性を見出したということでしょうか。
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山下
そうですね。今までは別に「企画が好きだからこれをやろう」と思ってやっていた訳ではないですが…何かをつくり発信することで仲間と楽しんでこれたこと=「企画」だと、自己分析をして気づきました。
ゼミで、商品企画やチームづくりを学ぶ
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勝俣
「企画」が好きとのことですが、大学でもそういったことに取り組まれていたのでしょうか?
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山下
はい。ゼミで、『Sカレ』という商品企画の大会に出場しまして。「社会課題を解決する印刷製品」をテーマに、3人の同期と一緒に取り組んでいました。
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勝俣
面白そうな企画ですね!特に大変だったことで学べたことはありますか?
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山下
「チームづくり」に関する学びが大きいです。大学で出会い、出身も価値観も違うメンバーで取り組むなかで、各々が思う「これがいい」が一致しない大変さもあって。
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山下
けれども、結局大事なのは「どれだけ腹割って話せるか」だと学べました。相手にちゃんと伝わるまで、1対1で向き合うこと。きつい言葉を使うわけじゃなく、自分の気持ちを投げかけ合えること。そういったチームづくりが大事だと学びました。
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勝俣
なるほど。そのためにチームで心掛けていたことはありましたか?
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山下
そうですね。コロナ前だったので、よく飲みに行ったり、企画の話に限らずプライベートなことも話すようにもしていました。また、各メンバーの長所や短所、「チームにこんなふうに貢献してくれて、いつもありがとう」といった感謝も伝え合うようにしていました。
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勝俣
素敵なチームですね。山下さんも含め、メンバーの皆さんにはどんな長所があったのでしょうか?
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山下
私であれば、資料作成やアイデアのコンセプト考えることが得意だったり。他の2人も、データ分析やいろいろ調べてまとめること、プレゼンが得意だったり。そういったことを互いに理解し合えていた点で、とても良いチームだったなと思います。
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勝俣
チームにおける自分の立ち位置も理解できるなど、深い学びですね。最終的に、どんな商品を生みだせたのでしょうか?
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山下
最終的には、『懐話(かいわ)ふだ』という商品を企画しました。メンバーのおばあちゃんが「認知症」であることから生まれたアイデアなのですが…ちなみに、老人ホームに行ったことはありますか?
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勝俣
行ったことはないです。
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山下
そうですよね。私も全然行ったことがなかったんです。ただ、「認知症」をテーマにするならまずは知るところから始めよう!ということになりまして、コロナ禍の到来前に老人ホームやグループホームを訪問したんです。
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山下
そこで、自分の生きているところが必ずしも「普通」じゃないということを学びまして。就活前に、自分の知らなかったことに沢山気付けて本当に良い経験ができました。
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勝俣
確かに、その経験は就活で軸とする価値観にも影響していそうですね。
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山下
そうですね。実際、お笑いを仕事にしてみたいと思うきっかけにも繋がりました。というのも、お笑いって「老若男女みんなが平等に楽しめるもの」だと気づいたのがとても大きかったんです。高齢の方ももっとお笑い芸人のYouTubeを気軽に見ることができる仕組みにできないかな、と考えたり。こういった経験をした自分だからこそ、できることがあるんじゃないか、と可能性を感じました。
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勝俣
笑点など、幅広い年代に通ずる面白さがありますよね。この素敵なご経験が、内定先の吉本興業さんへの興味に繋がったのですね…!
吉本興業を選ぶ決め手
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勝俣
では、広告ではなく吉本興業さんを選んだ一番の決め手とは何だったのでしょうか?
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山下
自分が吉本を最終的に選んだ一つの理由としては、お笑い芸人さんなど自分が今まで接することがなかった人と、沢山関わる機会があると感じたからです。広告業界の方とは、インターンや講座で結構お話しする機会があったのですが…。
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山下
お笑い芸人さんと直接話して何を考えてるのかを知る機会って、普通に生活してたらないじゃないですか。「なぜお笑いを生業にしたいと思ったのか」「どんなことにワクワクして仕事をしているのか」など彼らと話す中で知りたいと思っています。それを知るだけでも、すごく楽しいんじゃないかと思っています。
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勝俣
確かに、今まで接することがなかった人に関われるというだけで、すごくワクワクしますね。ありがとうございます!
就活生に向けたメッセージ
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勝俣
それでは最後に、就活生へのアドバイスをよろしくお願いします!
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山下
一周回って結局大事なのは、元気・謙虚さ・笑顔といった基本的なことだと思います。人と接する上で最低限必要なことが大事だと、就活後半になってやっと気づきました。
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山下
目を見て話すことや、笑顔で受け答えするなど…意識してたつもりでも、忘れがちなことだったりするんです。実際それができる人と話すと気持ちいいですし、もっと話したい・一緒に働きたいと感じてもらえると思うので!面接前に自分で唱えたりするのもいいかもしれません。
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勝俣
仰る通りですね…私も気をつけなくては!
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山下
あとは、就活は「自分がどれだけやってきたか」を自慢する場ではなく、「自分がこれから何ができるか」を示す場だということを忘れないでいてほしいです。
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勝俣
確かに、「自分がやってきたことを披露しなくては!」とついつい焦ってしまいます。
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山下
仮に隣の人がすごく輝かしい成績を持っていたとしても、それが内定に直結するわけではないので。だからこそ、1位になれずとも泥臭く頑張れたことや、報われなくても学べたことを伝えて「だから御社ではきっとこんなふうに活躍や貢献ができます」と真摯に伝えることができれば、とても良い道が開けるんじゃないかなと思います。
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勝俣
なるほど…!伝えたいことの本質を忘れずに、就活を頑張ろうと思います。本日は、本当にありがとうございました!
就職活動をする中で、一生懸命頑張ったことが実らなかったり、逃げ出したくなることも沢山ある。けれども山下さんのように、挫折をきっかけに物事の本質を見直して立ち上がることもできるのだと学びました。
現在奮闘している就活生の皆さん、また、これから就活を始める皆さん。一緒に多くの山を乗り越えつつ就活を乗り切りましょう!