“フライングで就活”もどん底に。学生起業家が友達の「レジュメ貸して」からサイバーエージェントに内定した話。

インタビュー

 

大学二年の時に起業し、社長として実務経験もあり、超高倍率のサマーインターンにも参加していた中央大学商学部経営学科4年出原君。しかし、就職するならここしかないと思っていた長期インターン先がまさかの不採用に。6月から新たに就活を再開することになった出原君の人生を変えた友達からの1通のLINEとその波乱の就活とは??

しちゃいなよ起業

新保
よろしくお願いします。出原君は起業していたって聞いています!

出原
よろしくお願いします!オンラインの家庭教師の会社を立ち上げました。

新保
どんな経緯で起業されたんですか?

出原
もともと高校の時からなんか社長になりたくて。将来は社長になろうって決めていたんです。学部2年生の夏頃から動いて、その冬くらいに立ち上げました。

新保
高校のときからですか!すごいですね。学生のうちに行動に起こせたのはなぜなんですか?

出原

ある教授にあったことですかね、1年生の時に少人数の授業があって。起業支援をずっとやってた先生で、その人に色々教えてもらったって言うのが大きいように思います。

新保
支援してくれる先生がいらしたんですね。

出原
そうですね、社長になってみたいなら起業しちゃいなよ、って言われて。僕もそれな!って思ってやってみました(笑)

新保

有名な渋谷の独立系のVCの方みたいですね!(笑)

オンラインの家庭教師の会社を立ち上げた出原直人さん

経営する側から現場へ

新保
その会社の経営に専念する選択肢もあったと思います。なぜ就活に至ったのか、お伺いしたいです。

出原
会社作った時点では、就職するつもりはほとんど無かったですし、起業した1年目から自分でプロダクトを作って回していくっていうそのつもりではあったんです。

新保
就活ではなく、経営を続けようとされてたんですね。

出原
そうなんです。でも業績というか、それだけで数字を立てていくっていうのがかなり難しい状況だったっていうのが最大の要因ですかね。

新保
起業というのは厳しい世界ですね、、、

出原
3年生の春先に、思ったようにいかないねってことになり、社員の誰も教育のプロパーではないから、業界に詳しくなかったんです。だから会社の動きは凍結して、知見を磨いてこようってなって。

新保
そうだったんですね、具体的にどのようにされましたか?

出原
マーケティングのインターンを始めました。最初はユーザーのニーズを数値化したいなって気持ちだけでした。でもこれが結構、自分に合っていて。もともと社長ってことしか頭になかったけど。

新保
それは経営よりもマーケティングが出原君には合っていたということでしょうか?

出原
そうではなくて、自分の中で回せる粒感のタスクがあったから、できてるなって感覚があって、ハマったように思います。

新保
経営よりマーケティングの現場の方が、より自分の力で仕事を回せる実感があったんですね。

出原
そうですね、仕事内容がぐっとシンプルになって。経営って同じ時間でもたくさんに目を配らないといけなかったから。

新保
そうなんですね。

出原
就活の話で言うと、経営から現場レベルに視点を落としてみるとWebマーケティングとかが見えてきて、それでITの世界とかWeb系面白いな、って所に興味が湧いて来たって言う流れですね。
サイバーエージェント内定者の出原直人さん

就活スタートきっかけは、あの人

新保
具体的な就活はまず何をされたんですか?

出原
実を言うとインターン自体は2年生の夏ぐらいからポツポツやってはいたんです。1day含めると10社くらいですね。本当に業界とかは適当に。

新保
起業される前にも動いてたんですか!

出原
そうですね、会社つくっちゃいなよって言ってた教授がまたきっかけなんだけど(笑)結構印象的な言葉があって。「就活にフライングはない」みたいなことを言っていたんですよ。

新保
「就活にフライングはない。」どういうことでしょうか?

出原
「別に早く始めて誰からも怒られないんだったら、いつ始めてもいいんだったら早く始めたほうが良いに決まってない?」って言われて、確かに、ってなって(笑)

新保
なるほど(笑)

出原
とはいえ、当時は興味本位で見に行ってただけだから、ちゃんとはじめたのは3年生の夏前ぐらいです。自分の興味ある分野のIT系のサマーインターンの選考を受けてました。

インターンで改めて知った自分の好きなこと

新保
起業されてた方が選んだサマーインターンというのは気になります。教えてください!

出原
新規事業を提案する内容の大手IT系の14日間のインターンにいきました!

新保
14日間!長いですね!どうしてそのインターンに応募したんですか?

出原
就活をしながらでも、自分が事業を回していきたいって想いはずっと変わらずにあって、そこに方角が近い方に行きたいって思って。

新保
そうなんですね、でも新規事業を提案する14日間のインターンというと、内容が重く、ハードルが高いように感じる学生も多いと思います。

出原
僕ももっと苦しいもんだと思っていました。でも行ってみたらひたすらずっと楽しい、本当に楽しい2週間でした。

新保
楽しかった点を挙げるならどういった点でしょうか?

出原
それはもう実務的な面も、社員の方の人数も質もそうだし。とことん事業を深堀ることだけをできる空間があったことが本当に良かったです。

新保
なるほど。事業を新しく考えるというのは、起業したときもそうだと思いますが、その時と比べて何か違いはありましたか?

出原
起業の時は、どうしても小さい規模で始めなきゃでやりたいものも諦めることが多いんです、お金がないので。いきなり何千万円の設備投資をして何年後に何億返ってくるみたいな話はスタートアップではできないから。

新保
たしかに資金の差は、大手とスタートアップの大きな違いですよね

出原
そうですね。でもインターンではこの会社でやったらどうなるか、っていう想定の上でできるから、そこは柔軟に選択肢が持ててすごく面白かった。自分は事業を回すのが楽しいんだなと改めて感じました。
サイバーエージェント内定者の出原直人さん

理想の職場との出会い

新保
夏のインターンを終えてからはどのように過ごしていましたか?

出原
サマーインターンしてから一人メンターさんがずっと伴走してくれてて。事業開発に興味あるなら実際にインターン生として働いてみないかって。

新保
夏インターンから長期インターンを紹介してもらえたんですね。

出原
そう!その会社の事業会社に入って、そこのプラットフォームを利用しながら、新しい施策を考えて、実際に現場に提案するってことを11月から4月までやってました。

新保
実際にインターン生として大企業の中で新規事業を開発するというのはどうでしたか?

出原
就活うんぬんでなく、働く環境として自分にフィットする世界を知れたって感覚がありました。

新保
実際にインターン生として大企業の中で新規事業を開発するというのはどうでしたか?

出原
自分がこう思うって言うものをもって、ちゃんと動ける場所だった。どっちがいいですかね?っていうと君はどっちがしたいの?みたいな。

新保
個人を尊重してくれたんですね。

出原
そうですね。それがすごく自分に合ってて。もうなんか、この職場の空気感の中で仕事をするものだと思い混んでましたね(笑)

他を見るまでもなく

新保
11月から4月の間というと、説明会解禁など、就職活動においては大事な時期だと思います。他の企業へのアプローチなどはどうされましたか?

出原
一切やってないです。もうインターンに全リソースを入れてやってたんで、他の就活とかは全くやってなくて。

新保
全くやらなかったんですか!?

出原
本当にその会社以外目に入ってなかったし、だから他を見に行くまでもないなって発想でした(笑)

新保
それほどまでにインターン先が働く環境として出原君にとって理想的だったんですね。

出原
そうですね。まあ一応、最低限として逆求人サイトには登録してたので。そこからスカウトが来た所には実際に出向いてお話したりってことはやってましたね。

新保
逆求人使って受動的には就活するくらいで、ほとんどしなかったんですね。4月以降はどのように?

出原
4月にインターン終わってからもメンターさんがついてくれました。6月1日の本番まで2ヶ月間、たくさんの社員さんと繋いでもらって、トータルで30人くらいとお話ししました。

新保
30人!すごい人数ですね!

出原
たくさんの人と話せたことは本当に良かったと思います。一応、5月に逆求人サイト経由で内定をもらった企業が2つあったので無職になるリスクは無かったんですが、あんまり行く気はなくて。

迎えた本番、しかし、、、

新保
6月1日、本番はどうだったんでしょうか?

出原
本番の面接官も、事業づくりに精通している方で、話を分かってくださって、自分の考えや仕事に対するスタンス・将来ありたい姿など自然に伝えることができました。

新保
本番の面接官との相性が良かったんですね!自然体でいられるというのは面接では大事なことだと思います。

出原
そうですね。本当にそこは素直に答えてちゃんと自分ではやり切ったつもりでしたけど、5日くらいして担当メンターの方から連絡が来て、通過できなかったって。。

新保
それは、、大変ショックでしたよね。

出原
結果もそうですけど、自分はESも書いてない、何もない!と思って絶望しましたね、就活レベルで言うと他の人達よりも全然いってないわけで。

新保
1社に絞っていた分、周りとの差は本当に大きいですよね。

出原
ESを何十枚も出して、持ち駒を20社とか持ってるっていう人達が普通な状態の中で、6月の時点でマジ実質ゼロじゃん、ヤバい!って。人生最大の危機を迎えた気がしましたね。

救ったのは一通のライン????

新保
結果が出た日からどう立て直したんですか??

出原
ちょうどその時もうすぐ、大学の方では前期の期末試験があって。同じ授業をとってた友達から、結果の連絡をもらったその2時間後くらいに、久々にLINEが来て。「授業のレジュメ持ってる?」って。

新保
2時間後!まさにへこんでいるところに、、、

出原
そうですね(笑)これからどうしようかなーなんて考えてた時でした。でもレジュメ持ってたから普通にLINE返したんですよ。

新保
出原君、優しいですね(笑)

出原
内心はレジュメとかそれどころじゃなくて相当焦ってましたけど(笑)LINEを返したら「6月だけど就活どう?」って聞かれて。ついさっき結果が来たという話をしたら、「もし良ければサイバーエージェント繋ぐよ?出原に合ってると思うから紹介するよ!!」ってその時にいわれて。

新保
関係のないLINEから、まさかの展開ですね!

出原
本当に(笑)その子は実は僕と同じタイミングで別の会社を起業してた子で。起業仲間というか。サイバーの内定も早めに持っていたみたいで。

新保
そうだったんですね、志望と合うIT業界を紹介してくれるなんて本当にすごい縁ですね!!

出原
でも紹介されはじめたタイミングで実はもう19卒の募集は基本締め切ってて、もう20卒に向けての就活に動いてるっていう状況らしくて。だからかなり絶体絶命なんですよ、その時点では。

新保
え!本当に少しの枠しか残っていないということですよね

出原
しかも、その子が前に紹介した友達が何人もいたらしいんだけど、全員落ちちゃってて(笑)だから、「結構厳しい戦いかもだけど全部賭けて行って来て。」って言われて。

新保
落ちて当たり前の世界というか。受かるのは相当難しい状況だったんですね。

間の悪い吉報

 

新保
そんな中迎えたサイバーの面接はどうだったのでしょうか!

出原
人事の執行役員の方と20分ぐらいの面接して終わりでした(笑)半分くらいは雑談で実質10分くらいかな?最終的には「うちで暴れちゃいなよ」って言われて、なんかいい感じに終わりました。

新保
おおお、よかったですね!!スピード決着!

出原
でも、人事の執行役員の方って内定を出す時は、すぐその場でもう確定です、内定ですってちゃんと伝えるらしいんですよ、でも、僕にはその人は「うちで暴れちゃいなよ」としか言ってないんですよ。それどうなの?ってなるじゃないですか。リップサービスかなって。

新保
確かに、曖昧ですよね(笑)

出原
だから、その時はちらほらIT系の他の企業を受け始めていました。逆求人経由で内定もらった企業の内定者懇親会にも参加していて。

新保
思わせぶりで連絡が無い可能性を考えて、就活続けながら、連絡を待っていたんですね

出原
そうですね。それでサイバーからちゃんとした連絡が来たのが、その内定者懇親会に参加してる真っ最中で(笑)「出原くんが来てくれてうれしいよ!!」とか懇親会で社員さんに言われながら、内心、ごめんなさい、みたいな(笑)

新保
タイミングが悪い(笑)最後まで波乱だったんですね。
サイバーエージェント内定者の出原直人さん

何をするかより誰とするか

新保
内定先としてサイバーエージェントを選んだ理由を聞かせてください。

出原
一番は、小さく事業を回していけるっていう文化が一番際立ってたからですね。実は長期インターンの時、ある企画にロジックでは正当性があるのに、インパクトがあまりないからって理由でハネられることが多くて。

新保
インターン先だと、規模感の大きいものが評価されていたってことでしょうか

出原
そうですね。会社として大きな規模があるから、その中で伸ばしていこうって。それに対して、自分は事業を小さくても始めたいんだっていう意識はあって。サイバーはどんなに小さくてもよくて、何をするかよりも誰がやるかを重視する会社だから。

新保
すごい!そうなんですね!

出原
あとは一年目から積極的に動いて結果を出していきたいなって。特にサイバーエージェントは若いうちから活躍して成果を出している人が多いと聞いていたので、自分もそうなりたいっていう憧れみたいなものも少なからずあったかもしれません(笑)

落ちても素直でいる

新保
就活を通して、評価につながったこと、就活のコツは何だと思いますか?

出原
面接には結構素直に答える意識はしました。企業向けにマーケティングを学びたくてー、みたいなことを言うと、向こうもプロなんで、本当に理解してるかどうか分かっちゃうらしくて。

新保
面接で飾らないというのは、難しいと感じる学生も多いと思います。本命に落ちて6月の2週目に1からやり直しの時なら、尚の事、焦って受かるために企業に寄せてしまいそうです、、、

出原
そうですね、でも昔から嘘がばれるタイプなので(笑)落ちてからもそこは変えずにいました。らしくないことは言わないというか。あと落ちたそのインターン先で、自分が何をしたいのかを半年間ずっと考えさせられていたのもあって。

新保
インターン先で培ったものが生きてきたんですね

出原
そこの影響は大きかったと思います。お世話になったインターン先には結果的に新卒で行くことはなかったですけど、今でも大好きですから。自分の好きなこと、したいことをちゃんと言えるというのは大事だと思います

1番の失敗

新保
逆に就活において失敗だったなということはありますか?

出原
これは多分1個しかなくて、就活をしている序盤に、受けるところをインターン先だけに絞ったことだと思います。いくら自分にフィットした環境だと思っても、そこだけしか見ていないっていうのはリスクでしかない。

新保
そうですよね、その影響で6月大変でしたよね。

出原
他の会社もカラーが近いところでも良いし、自分の中に持ち駒を持っておくべきだったと思います。サイバーだって紹介してもらわなくても、昔からそういう会社があるって知ってれば自分から行くこともできたわけだから。

新保
いくら好きな会社が見つかっていても、視野を広くしておくべきだということでしょうか?

出原
はい。与えられた環境が心地よいからこそ甘えてしまった部分はあるなと。そこは是非、20卒、21卒の皆さんはもうちょっと幅広く見てるといいのかなと思います。
サイバーエージェント内定者の出原直人さん

この記事を見る後輩へ

新保
では後輩へのアドバイスをお願いします。

出原
2つあります。1つは素直でいて欲しいです。自分がやりたいこと、目指す姿を嘘偽りなく、周りに伝えられるといいなっていうのを思います。

新保
なるほど、しかし、やりたいこととかが見つからないまま就活してる子も結構多いと思いますが、そういう子に対しては?

出原
あんまり自分興味ないなって思ってるインターンとかでも、日程が合えばとりあえず行って見たら良いんじゃないかなって思います。

新保
興味がなくてもいいんでしょうか?

出原
こだわり過ぎずに、ちょっと面白そうって所とかにたくさん行って見たらいいと思います。手持ちの選択肢が多い分、どこかしら深堀ってみたくなるかもしれない。

新保
なるほど。もう1つは?

出原
思考が似てる仲間を就活中に見つけられるとすごい楽しいよってことは伝えたいですね。僕も夏休みにサマーインターンの人たちと沖縄に行きましたし。

新保
旅行したんですか!仲良しですね!

出原
就活仲間ってある程度思考が似た人が集まってるわけだから話もあうし、一緒にいて面白いし。だからそういう意味でも仲の良い人ができることもあるし、というより実際あったし、結構良いですよ!

新保
サイバーに話を繋いでくれたのも起業経験のあるお友達でしたよね。

出原
そこは、本当にただラッキーだったんだけど、繋がりに助けられたということではあるかなと(笑)就活が簡単とか言えないけど、こんな感じです。頑張ってください!

新保
貴重なお話ありがとうございました!!出原君がサイバーエージェントで暴れている姿を楽しみにしています!

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