就活で作成する人も多い「送付状(添え状)」について、なぜ必要かという送付状の役割から、書き方のテンプレート・送付の際の注意点まで細かく解説していきます。効率よく作成するポイントもあわせて紹介します。
就活に送付状は必要なの?
就活の際、書類でのやり取りをするときに送付状を同封するかどうかで悩む学生は少なくありません。
結論から言うと、就活に送付状を同封するのは「一般的」です。
送付状とは何か、なぜ必要なのか、書き方や送り方はどうすればいいのか、じっくりと解説していきます。
就活の送付状とは?
就活生は、エントリーシートや履歴書などの提出書類を、郵送を用いて企業へ提出することが多いです。
その提出物に同封するのが、送付状、または添え状という書類になります。
送付状は、相手が受け取った書類がどういう内容なのか、一目でわかるように添付するものです。
送付状は同封する内容を記載したもの
送付状は、宛名や自分の名前、提出書類の内容などを簡潔に記した、本の目次のような役割を持っています。
内容をわかりやすく記すために、送付状に記載しなくてはならない事は6つあります。
日付、宛名、自分の名前と連絡先、件名、本文、同封書類についての箇条書きです。
郵送・FAXなら付けておくのがベター
送付状は、基本的に郵送・FAXなら付けておくのが一般的です。
履歴書や内定承諾書の送付時には、送付状を作成しましょう。
しかし、肝心の書類内容さえしっかりしていれば送付状は重要ではない、または不要という意見を持つ社会人や企業も多いです。
つけ忘れて送付状のみを別で送ったり、不要と言われているのに送るのはマナー違反になるため、注意しましょう。
送付状はパソコンが効率的
送付状を作成する手段は、手書きとパソコンのふたつがあります。
送付状は、パソコンでの作成がおすすめです。
送付状のテンプレートをインターネット上からダウンロードできることもあり、効率よく、間違いも少ない送付状を簡単に作成することができます。
就活の送付状の一般的な書き方
送付状の書き方には、パソコンと手書きで、二通りのやり方があります。
パソコンと手書きの送付状の作り方を、要点をおさえながら解説していきます。
パソコンでの送付状の書き方
パソコンでの送付状の作製は、日付や宛名の記入位置が、右上・左下・中央など細かく決められています。
ワードソフトでなどで、送付状のテンプレートをダウンロードして行うと効率的です。
送付状は、A4のコピー用紙に印刷して送ります。
パソコンの送付状に必要な項目
パソコンでの送付状の作製に必要なのは、6つの項目です。
これより多いと邪魔でしかなく、少ないと情報不足で添え状の意味が無くなります。
必要最低限の項目をおさえ、伝えるべき情報を見やすく整理した添え状を作成しましょう。
- 日付
- 宛名
- 自分の名前と連絡先
- 送付状のタイトル
- 本文
- 同封書類についての箇条書き
日付
送付状には、まず日付の記載が必要です。
日付は、いつ頃に投函された書類なのかわかるようにするため、作成日ではなく投函日を記しましょう。
日付は、書類の右上に記載しましょう。
宛名
宛名は、誰に送った書類か明らかにするために、相手の名前以外にも会社名・所属や担当役職などの肩書も詳細に記載しましょう。
社名と部署名のあとに「○○様」と相手の名前を書くのが一般的です。
相手の名前が不明な場合は「採用ご担当者様」など、誰に送りたいかを明らかにします。
もし誰に送ればいいかも不明な場合は、会社と部署宛だけでも大丈夫です。
宛先を丸ごと省略することだけは、しないように注意しましょう。
封筒とは違い、添え状に相手の住所は必要ありません。
宛名は、書類の左上に記載しましょう。
自分の名前と連絡先
名前と連絡先には、自分の名前以外にも、所属する大学や学部・学科も記載しましょう。
住所を記す際は、都道府県から書き出すのが基本です。
番地なども「〇-〇-〇」と略さず「〇丁目〇番地〇号」とすると良いでしょう。
連絡先は、携帯電話の番号など日中にも出られる電話番号と、よく使うメールアドレスを記しましょう。
自分の情報は、日付の下に記載しましょう。
送付状のタイトル
送付状のタイトルは、何についての書類なのかを一言で表す件名になります。
「○○書類の件」と、一目で何の用件の書類なのかわかるようにしましょう。
件名は、書類中央に記載しましょう。
本文
本文は、基本的に件名の下に書きます。
本文には頭語と結語を用いて、挨拶と用件を簡潔に記します。
添え状の本文は、長くなり過ぎないように注意しましょう。
同封書類についての箇条書き
本文の下には、同封書類を箇条書きで記載します。
「記」の下に、「・○○ 一枚」と書いていきます。
箇条書きの右下には、「以上」と締めの一言を添えましょう。
「以上」で結んだ下には、何も書かないようにしましょう。
手書き(縦書き)での送付状の書き方
送付状は、パソコンを使わずに手書きで作成することもできます。
用紙には、縦書きの便箋を使いましょう。
手書きの送付状に必要な項目
手書きでの送付状の作製に必要なのは、5つの項目です。
パソコンでのフォーマットとは違って日付や宛名は最後に記載する、手紙のような構成になります。
- 頭語・結語
- 本文
- 日付
- 自分の名前
- 宛名
頭語・結語
手書きでの送付状の作製は、頭語からはじまります。
「拝啓(または拝呈などの頭語)」→「挨拶」→「本文」→「敬具(または拝具などの結語)」の順で書き進めていきます。
頭語と結語には組み合わせがあります。
拝啓には敬具、拝呈には拝具、と決まっています。
拝啓という頭語を使ったのに拝具という結語は使えないので、組み合わせには注意しましょう。
本文
本文は、「頭語の下に挨拶」→「主文」→「締めの挨拶の後に結語」の流れで書いていきます。
まず頭語の下に挨拶を書いていきます。
挨拶は、「拝啓」などの頭語のあとに「〇〇の候、貴社ますますご清栄のことと心からお喜び申し上げます」と漢語調で述べます。
挨拶を述べるときに、「前略」は使いません。
○○の候、の部分にはその季節に合った言葉を入れます。
一月には「初春」「新春」、二月には「立春」、三月には「春暖」「早春」など、日本の季節の挨拶は月ごとに細かく決まっています。
挨拶の後には、行を変えて本文を書いていきます。
その際に「さて」や「この度は」などを入れるのが一般的ですが、厳密には決められていないので、就活生の送付状の場合はすぐに主文に入っても失礼には当たりません。
本文を書き終えたら、結びの挨拶を加えます。
相手の繁栄を祈る言葉や、指導を願う言葉などで締めます。
挨拶を書き終えた後には、行を変えて、一番下に「敬具」などの結語で結びます。
日付
結語で本文を結んだら、行を変え、上に日付を記入します。
日付の記入は、二文字程度の余白をあけて書き出すと良いとされています。
日付は、年号○〇年○〇月〇〇日というように記入しましょう。
自分の名前
名前は、日付とは行を変えて、下の方に記入します。
位置の目安としては、名前の最期の字が結語と同じ高さになるように調節して書き出します。
宛名
最後に、行を変えて宛先を記入します。
宛先は、株式会社なども省略せずに正式な社名から担当部署、担当者まできちんと記入しましょう。
担当者までわかる場合は「様」、担当部署までしかわからない場合は「御中」という敬称を使います。
就活の送付状にまつわる6つ注意点
就活の送付状には、6つの注意点があります。
作成時のポイントや扱い方に注目して、自分の送付状に間違いが無いようにしっかりとチェックしましょう。
- 封筒に入れる順序に気を付ける
- 誤字脱字・宛名は間違っていないか
- 時候挨拶が正しいか
- 日付は投函日になっているか
- 送付状の内容と同封書類が一致しているか
- 封筒の書き方にも注意する
封筒に入れる順序に気を付ける
書類だけを封筒に入れる場合は基本的に順序はないのですが、送付状を同封する際は、封筒に入れる順番も大事になります。
送付状を同封する場合は、封筒を開けた時に「送付状」→「書類」の順に取り出せるように入れます。
パソコンでの送付状の作成時に、同封書類についての箇条書きを記した場合は、その通りの順番に入れます。
書類はクリアファイルに挟んで封筒に入れるのが良いとされています。
ちなみにファックスでの送信の場合も、送付状が一番最初です。
誤字脱字・宛名は間違っていないか
送付状は、宛名の間違いや誤字脱字がないかにも注意が必要です。
宛名を間違えるのは失礼になるため、相手の会社名や名前は正しいか、何度でもチェックしましょう。
似ている漢字の書き間違いや、御中と様の使い分け、ら抜き言葉などのひらがなの扱い方にも注意して見直しましょう。
頭語と結語の組み合わせが正しいか、間違った敬語や季語を使っていないどうかにも気をつけましょう。
自分一人で見直すだけでは限界があるので、第三者にも一度目を通してもらうことが理想的です。
時候挨拶が正しいか
挨拶は季節ごと、厳密には月ごとに変えなくてはなりません。
日本の挨拶は、四季の季語だけでなく、月ごと・時期ごとに季節を現す単語があります。
二十四節季や、三春(初春、中春、晩春)・三夏(初夏、仲夏、晩夏)・三秋(初秋、仲秋、晩秋)・三冬(初冬、仲冬、晩冬)、暮・新年の季語など、多様に分かれた時候の挨拶があります。
すべてを覚えるのは不可能なほどの細分化がされているので、提出物の作製のたびに、挨拶に使う季節の単語はきちんと調べておきましょう。
また、挨拶には口語調と漢語調の二種類があります。
口語調は「うららかな日々が続いております」など、相手に語り掛けるような挨拶で、主に手紙で使われるものになります。
提出物としての書類には口語調は使わず、漢語調の「○○の候」などの格式高い印象になる挨拶を心がけましょう。
日付は投函日になっているか
送付状に記入する日付は、投函日の日にちが正しいです。
書類を作成した日付ではないので、注意しましょう。
間違えないためには、なるべく書類を作成した当日に投函まで済ませるように心がけましょう。
送付状の内容と同封書類が一致しているか
企業への提出書類は、送付状の内容と同封書類が一致しているようにしましょう。
履歴書の送付の時は履歴書の送付に関する送付状、内定承諾書の送付の時は内定承諾書にの送付に関する送付状、というように、必ず、提出物の内容にあった送付状をつけるようにしましょう。
とくに、テンプレートを使用して作成した送付状の場合は、自分が提出するのが内定承諾書なのに履歴書のときの送付状のテンプレートを使ってそのまま送ってしまった、などの不注意が起こりえるため、とくに気をつけて見直しましょう。
封筒の書き方にも注意する
企業への提出物は、肝心の書類や送付状だけに注意するのではなく、封筒の書き方にも気をつけましょう。
封筒は基本的に白いものを用い、記入の際には、表面に宛名、裏側に自分の名前を書きます。
まずは表面の封筒の書き方です。
封筒は、切手を左上に貼ります。
右端には、横書きで郵便番号を「12345……」の数字で記入します。
郵便番号を書いた下に、少しの余白をとって住所を書いていきます。
住所は、略さずに都道府県から書き出します。
縦書きで記入する住所の番地などは、「一二三四……」などの漢数字を使います。
企業へ送る封筒には、ビルの名前や階数まで書くようにしましょう。
住所を書き終えたら、会社名や相手の役職名と名前を記入します。
相手の名前が一番大きくなるように文字を調整しながら、封筒の中央に書いていきます。
会社名や役職名は基本的に名前の右側ですが、役職名が四文字程までの場合は名前の上に書きましょう。
名前の下には「様」、部署宛で出す場合は「御中」の敬称をつけましょう。
次に裏面の書き方です。
裏には自分の住所と名前を記入します。
封筒の中央・または左下に、自分の住所と名前を書きます。
郵便番号は、名前と住所の上に横書きの「1234…」の数字で記入します。
封かん日を記入する場合は左上に、縦書きの漢数字で「○月〇日」と書きましょう。
封締めには「〆」を記しましょう。
「〆」は「×」に見えないように注意しましょう。
就活の送付状を作成するときの3つのポイント
送付状を時短で間違いなく、かつ印象も良く作成するためには、抑えておきたい3つのポイントがあります。
また、送付状を送る際にチェックしておきたいポイントも、あわせて紹介します。
- テンプレートを作成しておく
- クリアファイルに入れて印象アップ
- 送る前に第三者にチェックしてもらう
テンプレートを作成しておく
パソコンで送付状を作製した場合、構成データをテンプレートとして保存しておきましょう。
送付状を作成するたびに、白紙の状態から形式を作り直すのは効率的ではありません。
テンプレートを作成しておけば、日付などのデータを書き換えるだけで済むので、簡単に送付状をつくり出すことができます。
また、挨拶なども作成のたびに打ち直すのは面倒な人は、パソコンの単語登録の機能を活用して「ま」と打つだけで「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」などと変換できるようにしましょう。
送付状の形式のテンプレートだけでなく、よく使う挨拶も登録して保存しておくだけで、日常の業務の処理スピードを格段に上げることができます。
クリアファイルに入れて印象アップ
提出物は、ポストに投函した時に曲がったり郵送の際に雨に濡れてインクが滲んだりしないように、クリアファイルに入れて書類を保護しておくと印象が良いです。
送付状はA4のコピー用紙で作成するのが基本のため、A4用紙が入るクリアファイルと大きめの封筒を用意しましょう。
小さいクリアファイルと小さい封筒の中に、送付状を折りたたんで入れてしまうのは悪い印象になってしまう危険があるので避けましょう。
送る前に第三者にチェックしてもらう
送付状に限らず、自分で作成した文章は、第三者に見直してもらうことが大切です。
日常的に書類のやり取りをしている社会人の人に見てもらうのが一番で、敬語や季語の使い方は正しいか、構成は正しいかなどを確認してもらいましょう。
社会人に一読してもらえない場合、実は同級生や友人にチェックしてもらうことも有効で、宛名の間違いが無いか、本文中に誤字脱字がないか、文章がわかりにくくないか等は充分に確認してもらえます。
大事な提出書類ほど、ひとりの中で完結させず、第三者に目を通してもらってから送りましょう。
就活で送付状がないと選考に影響する?
就活の時の書類のやり取りに送付状を同封するのは一般的ですが、送付状は重要書類ではありません。
提出物に送付状がついていないからといって、それだけで選考に落ちることは、まずありません。
企業の中には、「履歴書が封筒ごと回って来る時もあるが、送付状が無い場合も多い。送付状がなくても、とくに問題はない」という採用担当者もいます。
送付状の有無より何より大事なのは、提出物の中身です。
履歴書がコピーされていたり、雑に修正テープなどで直されていたり、書類内容に不備があったり、企業は送付状よりも提出物の内容を一番見ています。
送付状やクリアファイルなどはあくまで、大事な提出物の添え物であり、ほんの少しの企業への気配りです。
2回目・内定後の送付状はどうする?
2回目・内定後の送付状の扱いについて、どうすればいいのか、一般的にはどうなっているか、解説します。
とくに内定後の送付状は、他の送付状とは違う特別な一枚なので、本文に注意しましょう。
書類を提出する際には回数に関わらず送付状を付ける
提出書類に送付状を同封することに、回数は関係ありません。
一度目に送付状を同封したのなら、基本的には二度目以降も同封していきましょう。
しかし、もしも企業が「環境保護の観点から送付状は不要」というような姿勢をとっている場合や、送付状は不要と明記している場合は、気づいたときに同封をやめるようにしましょう。
内定後の送付状には内定のお礼や今後の抱負を記載する
二度目以降の送付状の注意点として、内定後の送付状には、入社の意思を示すためにも、特別な本文を加える必要があります。
内定後の提出書類である内定承諾書に同封する送付状は、本文に内定のお礼や今後の抱負を、簡潔に記載しましょう。
流れとしては、「日付」→「宛先」→「自分の名前」→「件名(内定承諾書送付の件、など)」→「拝啓などの頭語」→「挨拶(○○の候、貴社におきましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。など)」→「主文(内定をいただいたことへの感謝、入社後も精進していくなどの意気込み、指導をこう一文、よろしくお願いいたしますなどの締めの言葉)」→「主文(書類を送付させていただきます、などの文章)」→「敬具などの結語」→「同封書類の箇条書き」→「以上」という形になります。
就活の送付状で丁寧さをアピールしよう!
就活の送付状は、正しく作成すれば非常に丁寧な印象になります。
添え状は必須ではありませんが、書類提出のひとつひとつに細やかな配慮ができるのは、自身の強みになります。
送付状を同封したときのような気配りの意識は、就活後も忘れずに、仕事への姿勢に繋げていきましょう。
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