筑波大学で学部時代は数学、院時代は社会工学を研究していた大原敬之さん。結果を最大化するための数理最適化を学び「人の移動時間を最適化したい」と語る大原さんは、鉄道に焦点を当て日立を選んだ。そんな大原さんが理系らしく「仮説」を立て、業界や企業を研究していく方法も必見です
基礎から応用へ
平川
今は大学院生ということですが、学部時代はどんな勉強をしていたか教えてください!
大原
学部時代は数学類で確率の勉強をしていました。卒業研究では秘書問題というメジャーな問題をテーマにしていました。話すと長くなるので気になる方はググってみてください(笑)
平川
初めて聞きました。社長のスケジュール管理をする人ではないですよね??
大原
違います(笑)
平川
調べてみます!大学院は数学ではなく社会工学という違う分野に進んだとのことですが、そちらではどのようなことを勉強しているのでしょうか?
大原
数理最適化について学んでいます。何かをうまく決めることによって、結果を最大化するというものです。特に勤務表の作成を自分の研究として行なっていました。
平川
勤務表ですか。確かに最適化するのは大切ですよね。では、数学から社会工学に進もうと思ったきっかけは何でしょうか?
大原
実は最初は就活も行なっていました。ただ、就活を行なっていく中で、この社会に対して自分ができることは何だろうと考え始め、大学院の説明で社会工学という分野について知り、進学を決めました。
平川
なるほど、それは数学ではできないことだったのでしょうか?
大原
数学は基礎的な学問であり、新しく何かを生み出すことは難しいと感じていました。だから学んだことを生かし、新しい仕事を生み出していきたいと思い応用的な分野に決めました。
平川
学部から院に進んだ経緯がよくわかりました。

学園祭実行委員会
平川
それでは、大学で一番頑張っていたことを教えてください。
大原
サークル・委員会活動です。サッカー同好会と学生団体WorldFut TSUKUBA、そして学園祭実行委員会の3つに入っていました
平川
その中で特に頑張っていたことは何でしょうか?
大原
学園祭実行委員会ですかね。副委員長をやっていました。
平川
副代表!そもそも入ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
大原
大学に入るまでは色々な分野にいきたい人が集まっているけど、大学に入ると各分野に別れてしまうのでもったいないなと思っていました。だから、多くの人と知り合いになりたいなというのがあって一番大きな団体である学園祭実行委員会に入りました。
平川
なるほど。1年生から入っていたんですか?
大原
1年生から入って、2年生が執行代でした。
平川
執行代ではどのような活動を行なっていましたか?
大原
委員会内の物品をほぼ一人で管理する仕事をしていました。
平川
莫大な量ですよね??
大原
何千、何万の量です。屋台も500以上出るのでかなりの量でした。
平川
副委員長をやろうと思ったきっかけは何でしょうか?
大原
推薦されたことです。期待に応えたいと思いやりました。
平川
そうなんですね。活動の中で何が一番大変でしたか?
大原
まず団体構成を先に言うと、執行代が100人、1年生が200人ほどでした。300人ほどの委員が中でいくつもの部署に分かれるんですが、その部署ごとでの共有が難しくすれ違いが起きることが一番大変でした。
平川
300人もいたら共有は大変ですよね。解決するために何か行なったことはありますか?
大原
自分がパイプ役になろうと意識していました。まず仲良くなり自分を覚えてもらい、そこから他の部署の人たちをうまく巻き込んで行こうとしていました。
平川
パイプ役ですか!結果、変わったことはありますか?
大原
具体的な数値では出せないのですが、仕事に来る人が増えたのを実感し結果として各部署ごとの共有の質も上がりました。仕事を重ならないように調整し、同時並行でやったりお互いに相談しあえる環境も作ることができました。
平川
大きな団体のパイプとなることでうまく団体を回していたのですね。
2回の就活
平川
それでは次に就活の話を聞いていきます!まず、学部時代にも就活をしていたとのことでしたが、どうして始めたのでしょうか?
大原
早く社会に出たいという気持ちからです。その時は、院に行く目的もまだなかったし、それで2年間無駄にするなら早く働きたいと思って始めました。
平川
なるほど。最初はどのような業界を見ていましたか?
大原
テレビ業界を見ていました。単純にテレビが好きという理由からでした。あとは数学類だったのもあり、アクチュアリーも興味を持っていました。
平川
なるほど。インターンは参加しましたか?
大原
保険会社のみ参加しました。業務が知れたのと、優秀な人たちに会えたので参加してよかったなと思いました。
平川
そこから保険会社の希望度が上がっていったりはしましたか?
大原
具体的な内情を知れたのもあり、上がりました。学部時代の就活は結局この2つの業界を見ていました。
平川
その時の軸みたいなものはありましたか?
大原
数学を生かしたいなと思っていました。自分を活かせる職場に行きたいと思っていました。社会に対しての影響はまだ漠然としていました。
平川
学部時代の就活については良く分かりました。次に院時代の就活について教えてください!
大原
1年生の夏にインターンに参加しようと思い就活を始めました。ただ忙しかったため、ESなどに時間を割けず参加することができませんでした。
平川
そうなんですね。この時見ていた業界は学部の時と変化はありましたか?
大原
インターンではSEと経営工学、いわゆる生産管理の仕事です。やはり自分の専門分野を生かしたいと思っていました。
平川
そこは学部時代からブレずにって感じですね。インターンが終わり本選考の時期に入って行く中で、学部から変わっていった部分は何かありますか?
大原
学部時代に考えていたことに加えて、人と人をつなげる仕事であることと、茨城県出身というのもあり遠くの人同士を繋げたいという部分ですね。以上の理由から業界的には鉄道業界と通信業界の2つを考え始めました。
平川
そのようにして業界を絞って行ったのですね。

大学院生の就活
平川
では具体的な話に入っていきます。まず説明会にはどのくらい行きましたか?
大原
学内説明会で20〜30企業、直接行ったのが10企業ほどですね。
平川
そこからエントリーに進んだ企業数はどのくらいでしょうか?
大原
7社ほどです。上で言った観点で絞っていきました。
平川
納得です。業界分析や企業分析を何か行いましたか?
大原
一番力をいれたところです!まず、企業の論文だったり、その業界の問題とされている論文を読みました。そこから、問題点に対しどうやったら良くなるのかの仮説を立てて、実際に自分が考える解決方法まで考えていきました。
平川
超理系ですね!
大原
ネットだけではなく、さらに踏み込んでいくこと、話を聞くだけでなく自分で考えることが1番の研究だと思っていました。
平川
この研究は実際に就活の中で活用できましたか?
大原
仮説を立て、自分の考えを伝え、解決まで導くというこの流れはやはり社会に出てからも必要だと思うし、そこに関しては評価されていたかなと思います。
平川
そもそもこのような業界研究をしようと思ったきっかけは何かありますか?
大原
大学院の授業でデータ分析について学んだのがきっかけです。そこで学んだことを生かして実践して見ました。
平川
就活と大学院の授業をうまく繋げていけたのですね。面接に関してはどうでしたか?
大原
自分は話すのが苦手であがり症だったので結構苦手でした。だから、話す内容のキーワードだけしっかりと覚えていました。本当に伝えたい部分です。
平川
残りは話しながら考えていましたか?
大原
結構頭が真っ白になっちゃう部分もあったので、とにかく思ったことを素直に嘘偽りなく伝えることだけを意識していました。
平川
素直さはやはり大切ですね。
内定先の決定
平川
それでは、今の内定先に決定した理由を教えてください。
大原
鉄道の運行以外の全てに関われる点、茨城県発祥の会社という点の2点です。鉄道のことを1社でまかなえるのは日立だけと言われているので、ここに決めました。
平川
2点とも軸で言ってくれていた点ですね。
大原
あとは面接で人の温かさを感じたからというのもあります。
平川
どういうことでしょうか?
大原
自分は面接でかなりテンパってしまいました。ただその間にも微笑んでくれたり、ちゃんと聞いているよと伝えていただけたりして安心することができました。
平川
緊張している中なので、安心できる人との面接は印象に残りますよね。ちなみに大原さんはどのような点が評価されたと思いますか?
大原
志望動機と軸が明確だった点ですね。他に受けている企業を聞かれた際に業界でなんとなくではなく、「人と人とをつなげる」という目的のもとで鉄道は手段でしかないとしっかりと伝えました。
平川
なるほど。他にもありますか?
大原
学部から院を選択する際にしっかりと目的を持っていたことも評価されたのかなと思っています。普段のサークル活動や勉強、アルバイトでも目的を持つことはとても大切だと思いました。
平川
目的意識ですね。意識して生活していきたいと思います。

4月からのわたし
平川
それでは最後に4月から働く上でなりたい姿を教えてください!
大原
まだ部署は決まっていないのですが、人と人とをつなげる仕事はやっていきたいと思っています。あとは大学院時代に学習していたデータ分析をやっていきたいです。
平川
具体的にはどのようなことでしょうか?
大原
利便性や効率性を高めていきたいです。乗り継ぎの時間だったりホームの待ち時間だったりを短縮することで、最終的には通勤圏を広げていきたいという夢があります。
平川
通勤圏を広げる!いいですね。
大原
それが結局住む地域を広げ、地方活性にもつながっていくかなと思います。
平川
では、5年後10年後の大原さんはどうなっているでしょうか?
大原
自分が仕事を作れる人間になっていきたいなと思います。与えられた仕事だけでなく、こういうことをやったらもっと良くなるかなと自分から提案できるような人間になっていきたいです。
平川
自分で仕事を!かっこいいですね。それでは、これで終わりです。本日はありがとうございました!
大原
ありがとうございました。
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