総合商社への就職を目指している皆さんは、その仕事内容をしっかりと把握できていますか?
商社マンと言えばできるビジネスマンの代名詞です。しかし、商社の仕事内容は現実の私たちの生活に密接に関わっているにもかかわらず、実際に総合商社の仕事内容がどのようなものなのかはあまり知られていません。
今回は、商社への就職を検討している方のために総合商社の仕事内容を詳しく解説していきます。
総合商社の仕事内容はトレードと事業投資
伊藤忠商事や三井物産などの大手総合商社の事業モデルを見ると、どの商社も「トレードと事業投資」または「トレードと事業経営」をビジネスモデルとして掲げています。具体的な仕事内容の上流となる、それぞれのビジネスモデルを見ていきましょう。
トレード
商社はもともと世界を股にかけた卸売業が始まりです。海外で仕入れた商材を国内の二次卸売業または小売業へと卸して利益を得るビジネスモデルです。そのような貿易業としての業態は現在の総合商社のビジネスの基盤であり、現在の中心事業のひとつでもあります。
経済的に国境を超えた取引が日常的に行われるようになった現在では、取引相手は国内外多数に上り、実際に商品を仕入れて売るといった卸売ではなく、祖業で培われたネットワークを活かした仲介業者としても国際取引の重要な位置を占めています。
また、仲介の過程で商社ならではのネットワークとノウハウを活用し、生産から消費までの一連の流れに価値を付与していくというバリューチェーンの考え方が、商社のビジネスモデルでは重要になります。
事業投資
商社のもうひとつのビジネスの手段は事業投資です。短期的な商品売買で収益を出すのではなく、将来収益化が見込める市場へ投資してマーケットそのものを開拓していくダイナミックな仕事と言えます。
事業投資の手法は様々で、現地企業への経営参画や買収による子会社化など多種多様な方法があります。世界各国で投資されたことによる経営ノウハウやネットワークは別の地域や事業へ転用することで、さらなる大きな利益を生み出す源泉となります。
このようにトレード、事業投資、トレードと相互に利益を生み出す好循環を回していくことが商社の重要なビジネスモデルです。
総合商社と専門商社の仕事内容の違いは商材の幅
商社というと一般的に総合商社がイメージされますが、厳密には総合商社以外にも専門商社と呼ばれる企業があります。
総合商社
総合商社は、資源から自動車、食品、半導体など多種多様な形あるものすべてを商材として取り扱う一大企業体です。日本では7大総合商社商社と呼ばれる特定の企業が一般的に総合商社と言われています。以下が日本における7大総合商社です。
- 三菱商事
- 三井物産
- 住友商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 双日
- 豊田通商
とくに三菱商事、三井物産、住友商事は旧財閥系総合商社と呼ばれており、戦前に日本の経済・財界に大きな力を持っていた一族経営の企業体が母体の総合商社です。戦後に解散された財閥ですが、現在でも金融をはじめとした商社に限らない多くの業界で財閥系企業は力を維持しています。
専門商社
一方、専門商社とは特定の狭い商材を専門に扱う商社です。仕事の内容は総合商社とあまり変わりません。
一例を挙げると、大阪と東京に本社を置く東証一部上場企業である長瀬産業は樹脂原料やポリマー、プラスチック製品などを扱う化学系専門商社です。化学系の資源製造・加工の他にも、研究開発や関連する健康食品販売なども行っています。
いずれにしろ、総合商社であれ専門商社であれビジネスモデルは対個人のBtoCではなく対法人のBtoBなので、非常に規模の大きな仕事をすることになります。
総合商社の仕事内容に必要な能力
ここまでご説明してきたように、総合商社の仕事内容は非常にグローバルで規模の大きなものになります。そのような仕事ではどういった能力が必要になるのでしょうか。一部をご紹介します。
1語学力
総合商社であれ専門商社であれ、活躍の場が国内に限られることはないため語学力は必須の能力になります。第一言語として英語の能力はとくに求められますが、東南アジアや中東など、場合によっては英語以外の言語の習得が必要になることもあります。
大きなビジネスであれば通訳などが付くこともありますが、最低限の語学力は求められます。総合商社を志望する学生は、ガクチカやじこPRで自身の英語力を十分にアピールする必要があるでしょう。留学などした学生はそのことをガクチカに盛り込むと良いです。
とはいえ、語学力があっても端的に物事を表現して伝えられるコミュニケーション能力がなければせっかくの語学力も活かせません。語学力は働きながらでも修得できるので、総合商社を目指す新卒学生は、語学力だけがあれば良いというものではないと考えて総合的な能力を伸ばすことを考えたほうが良いでしょう。
2国際感覚
世界各国をマーケットとする以上、その国の歴史的背景や文化的特徴などを理解しなければ円滑な取引ができません。
現在の国際関係はもちろん、歴史的な部分も含めて国の文化を理解したコミュニケーションができる国際感覚が必要とされます。とくに商習慣などは欧米とアジア諸国で大きく異なります。取り引きの相手方のやり方にすべて迎合する必要もありませんが、その国のやり方に精通することは交渉のうえでも重要になります。
そのため、総合商社では中央アジアなどの文化的に複雑な背景があり、かつ資源なども豊富な地域出身者の従業員なども数多く在籍しています。
3体力とストレス耐性
長距離移動や慣れない土地での長期滞在など、体力がと強いストレスへの耐性が要求される環境にさらされることが多いのも商社の仕事内容の特徴です。
したがって、ハードワークに耐えられる体力と環境の変化によるストレスへの耐性は必須と言えます。ストレス解消という点でも体力の維持という点でも、運動が習慣化されている体育会系が商社業界で活躍しやすいというのもこの理由からです。
健康な体とストレス耐性は商社に限らず必要な能力です。鍛えておいて損はないでしょう。
総合商社の仕事内容は体育会系向き?
地味な仕事もある
一般的に商社の企業風土は体育会系と言われています。世界を股にかけて精力的に働く必要のある商社の仕事内容は、たしかに体力のある体育会系に向いています。
しかし、体育会系の企業風土は以前に比べると薄れてきています。また、商社と言えども地道な作業や丁寧な調査が必要になる職種もあります。
商社の仕事内容に魅力を感じているが、企業風土が肌に合わないと感じているからといって敬遠するのは得策ではないでしょう。
体育会系が有利は事実
しかし、実際に体力やストレス耐性などの面で体育会系は有利です。様々な文化の人々とコミュニケーションをとって仕事を進めていくには、多少の失敗であってもそれを糧として成長していく打たれ強さも必要になります。
結局は、語学力や国際感覚など体育会系とは関連のない能力も含めた総合力がものを言う仕事です。また、それぞれの強みを活かして協力してくのが組織というものです。
体育会系が有利な仕事であるとしても、それだけではないと心得ておきましょう。
まとめ
総合商社はトレードと事業投資を軸として世界を相手に大きな仕事をします。非常にハードな仕事のため体力、ストレス耐性などが必要とされます。体育会系の企業風土が形成されるのもそのような理由によるからと思われます。
しかし、体力だけがあれば良いというわけではなく、その他にも国際感覚や語学力など幅広い分野での総合力が求められます。
仕事の規模も責任も大きく大変な仕事ですが、やりがいという部分では他の仕事に負けることはないでしょう。
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