生きていく上で、キャリアを気づく上で、そして何より「就活」において、あなたを悩ませる「自分の軸」についてのお話です。
特に就活では、「自分の軸」が定まっていないと、途中で迷ってしまうこともあります。人生は選択の連続です。就活でも、選択の場面は否応なく訪れます。どの業界で働く?どんな夢を実現したい?どんな人と働きたい?etc……。そのときに、最善の選択をできる可能性を高めたくありませんか?
「自分の軸」を定めて、就活を円滑に回し、より良い就活、理想的なキャリアの構築を目指しましょう。人生という土壌を豊穣にするために欠かせないには、「自分の軸」を持つことをおすすめします。
Contents
1.「自分の軸」とは?
まずは、「自分の軸」とは何かという問いから始めましょう。「軸」とは何か。辞書を引けば、「回転によって動力を伝える機械要素。動力の中心要素であるため比喩に使われることがある」など意味は理解できます。動力、要素、ここでは就活やキャリア構築の原動力におけるプロセスに必要なものが「自分の軸」と定義できるかもしれません。「軸」は、あなたのこれからの就活、人生で意識的にも無意識的にも、ことごとくついて回ります。
- 「自分の軸」→心の物差し
何かをはかる「基準となる」物差しがあれば、悩んだり迷っても、考えた結果、次には行動に移せます。くわえて、自分の基準というものが肝心です。誰かに言われたからではなく、自分に責任を持つ、自らが判断できる「自分の軸」を持ってください。
「自分の軸」を確立するまでには、人の影響を受けることはむしろ当たり前です。あらゆるものから影響を受けて、最終的に取捨選択、淘汰した中で「自分の軸」が少しずつ定まっていけば良いのです。
- 「自分の軸」→自分の価値観
「自分の軸」は価値観にもなります。就活では、価値観がはっきりしていると選択肢が多い場合に決断をする拠り所になりえます。自分の中に価値観や判断基準がなければ、優先順位が定まりません。「自分の軸」がある程度確立されれば、優先順位も定まり、後悔の少ない選択ができます。後悔しない人間はいません。しかしながら、「自分の軸」があれば、最小限の後悔に留められます。さらに自分に責任を持って生きることもできるのです。
2.就活における「自分の軸」
人生においても、「自分の軸」は重要な要素になります。人生が決断の連続だからです。同様に、就活における「自分の軸」を定める必要があります。就活では、直接「あなたにおける就活の軸は何ですか?」と問われることがあります。就活をしていれば、必ず一度は聞くことになるかもしれません。割と頻度の高い質問です。
ここでは、「就活の軸」と「自分の軸」の違い、軸の重要性について説明します。
①「就活の軸」と「自分の軸」の違い
「就活の軸」と「自分の軸」には、違いがあるのでしょうか?「軸」という要素から全体を説明していけば、大きな違いはないと思っておいた方が無難です。なぜならば、「就活の軸」の延長線上に「自分の軸」があるからです。むしろ、「就活の軸」と「人生の軸」は並行していると考えても良いかもしれません。就活も人生の一部だからです。
②「自分の軸」の重要性
「自分の軸」の重要性が何となくわかってきたと思いますが、さらに踏み込んで考えてみましょう。もしも、「自分の軸」がなかったり、ブレていたらどうなるでしょうか?行き当たりばったりの就活や人生が待っているかもしれません。計画性を持つことが、いかに大切なのか、キャリアの理論を参照しながら、「自分の軸」の重要性を説いていきます。
- 「計画された偶発性理論」
キャリアの理論に、「計画された偶発性」というものがあります。「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」という理論です。偶発性というと、偶然の成り行きのように聞こえます。ここで大切なのことは、偶然性というものは、計画性を持った結果起こりうる現象だということです。自分のキャリアを良い方向に向けるために、計画的に考えた結果、自分自身で手繰り寄せたと言い換えて過言ではありません。
- 「偶然を味方につけるための行動指針」
「キャリアの8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定させる」というこの理論には、行動の指針のようなものがあります。偶然を必然に変える力です。「計画された偶発性」の理論では、それを手繰り寄せるには自分自身の心がけで変わっていくとしています。
具体的には、五つの行動指針を掲げています。
Ⅰ.好奇心:絶えず新しい学習の機会を模索し続けること。
Ⅱ.持続性:失敗を恐れず、努力し続けること。
Ⅲ.楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能にするとポジティブ思考を持つこと。
Ⅳ.柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること。
Ⅴ.冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと。
ここで、メジャーリーガーの大谷翔平選手を例に、上記の行動指針を照らし合わせてみましょう。あくまでもわかりやすくするための例です。野球があまり好きではない人は、過去の偉人や成功した人物、あるいは自分に置き換えて考えてみてください。
Ⅰ.好奇心:絶えず新しい学習の機会を模索し続けること。
→大谷選手は、高校生、日本のプロ野球、メジャーリーガーと与えられた環境の中で、変化してきました。高校生で160キロのボールを投げていましたが、プロでは165キロまで向上させています。
Ⅱ.持続性:失敗を恐れず、努力し続けること。
→日本のプロ野球でも、メジャーリーグにおいても、投手と野手という前代未聞の二刀流を成し遂げましたが、当初は悲観論者がほとんどでした。大谷選手は、失敗を恐れず努力でその論評を覆しました。
Ⅲ.楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能にするとポジティブ思考を持つこと。
→大谷選手は高校卒業時に直接メジャーリーグに進むことは断念しましたが、見事に5年後にメジャーリーガーになる夢を実現させました。
Ⅳ.柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること。
→メジャーリーグでのオープン戦では、全く結果が出せませんでした。そこで、今までのやり方を変えた結果、徐々に成果が実りました。
Ⅴ.冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと。
→メジャーリーグでは、肘を壊しました。大谷選手は、シーズンの途中で手術ではなく、療養して投手として数か月休む選択をしたのです。投手として復帰して1試合で、結果的には手術をすることになりました。でも、悲観せずに来期はバッターに専念する予定です。
計画的に「自分の軸」を持つことで、偶然を味方につけましょう。そうすれば、結果的に、理想の就活、人生に一歩近づけるはずです。
- 「自分の軸」を持つその他の効用
・他人の意見に左右されにくくなる。
・曖昧な情報に惑わされない。
・自信が持てる。
・迷わずに判断できる。
・etc…….
「自分の軸」には、様々な効用があり、就活でも力を発揮することでしょう。ただし、「自分の軸」とは、自分の好きなこととは微妙に違います。軸とは「なぜ?」の問いかけですから、単純な好きなことではありません。本が好き→なぜ好きになったのか?本の何が好きなのか?本に関連した仕事にしたいのか、それとも趣味でよいのか?
将棋の棋士は、対局中、盤面に向かって深く潜ります。「ハチワンダイバー」という漫画もあったくらいです。それくらい、自分自身と向き合って、深く潜って思考を巡らせてみましょう。人生において、節目節目でこのような機会は貴重な経験であり、必要なことなのかもしれません。
3.「自分の軸」の探し方
「自分の軸」の有用性が理解できたところで、次は探し方について説明します。「自分の軸」は探すものではないかもしれません。ただ、何もない中で、闇雲に考えても難しいと思います。ここでは、「自分の軸」定め方と見つけるためのポイントを示します。「自分の軸」を手に入れて、就活に活かしましょう。
①「自分の軸」の定め方
「自分の軸」をどのようにフォーカスしていくのか?「自分の軸」は、すでにあなたの中に内在しています。「自己分析」「自己理解」を進め、深めることが「自分の軸」を定めることにもつながってくることでしょう。
就活における「自分の軸」の本質は何でしょうか?「働くこと」という言葉がキーになるのではないでしょうか?「そもそも、なぜ働くのか?」「どのように働くのか?」「どのように働きたいのか?」一度、立ち止まって、自分の足取りを確認してください。あなた自身の考え方や行動、経験などを突き詰めて、掘り下げていくことで、「自分の軸」の芯が定まっていきます。
「自分の軸」が定まるとブレが生じにくくなります。ブレない心は、就活ではどのような効果があるのでしょうか?
【自分の軸が定まれば、歯車が上手く回る】
- 夢や目標が見えてくる。
↓
- 自分が進みたい業界が定まり始める。
↓
- 選考に進みたい企業が決まってくる。
↓
- 会社説明会などにおいて、鋭い質問が出てくるようになる。
↓
- エントリーシート(ES)や履歴書が書けるようになる。
↓
- 面接で明確に話せるようになる。
↓
- 選考が進む確率が高くなる。
↓
- 内定を複数得た際にも、どこに進むか判断がつきやすい。
↓
- 働く中で、壁にぶち当たっても、リカバリーができるようになる。
↓
- 理想のキャリアを築く、可能性が高まる。
「自分の軸」が定まれば、良いサイクルが生まれます。好循環が生まれれば、理想の自分に近づくために、さらなる努力を生み出します。ときには、挫折や苦労もあります。しかしながら、「自分の軸」が定まっていることで、浮上のきっかけとなり、次のステップへの推進力にもなることでしょう。
②「自分の軸」を見つけるポイント
「自分の軸」を見つけるポイントは、あなたの過去の出来事を可視化することです。頭で考えたことでは限界があります。「自分の軸」の元となるようなものの解像度を高めるためには、書き出すことが近道でしょう。あなたの過去において、どのような体験をしたのか振り返りながら、文字に書き出してください。書き出すことで、当時の記憶もよみがえり、あなたに内在している根っこの部分、「自分の軸」の芯が見つかりやすくなります。下記に「自分の軸」を可視化するための材料を明示しますので、参考にしてください。
- あなたはどんなことに感動を覚えますか?
- あなたの心が動かされた経験は何ですか?
- あなたは何にやりがいを感じましたか?
- あなたは何を大切に生きていきたいですか?
- あなたが成し遂げたいことは何ですか?
- あなたは何に喜びを感じますか?
- あなたはどのような環境で働きたいですか?
- あなたはどのような働き方をしたいですか?
- あなたはどう生きたいですか?
あなた自身の中に答えはあります。あなたしか自分自身の答えは持っていません。常に自分自身に問い続けてみましょう。「自分の軸」の見つける大切なポイントは、問いを発し続けることです。自分の頭の中を整理することで、「自分の軸」を自分の言葉で伝えられるようになりましょう。
のまとめ
「自分の軸」について、今回は主に就活にスポットを当てて、解説しました。「自分の軸」は一度見つかり、ブレずに定まれば、ちょっとの風雨にはビクともしないはずです。
「自分の軸」を持つことは、他ならないあなた自身の人生に彩りを加えることでしょう。「自分の軸」とは、あなた自身の人生そのものです。後悔のない就活をする上でも、欠かせません。
最後に注意点で締めたいと思います。ニーチェは、「怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならなぬように気をつけるがいい。長い間、深淵をのぞきこんでいると、深淵もまた、君をのぞきこむ」と言いました。絶えず問いかけることは、重要ですが、無限ループに陥らないようにしましょう。自分自身を深く向き合えば、向き合うほど、わからなくなることもあります。
そのためには、常に客観性を担保しましょう。俯瞰して自分を見ておく心の余裕が必要です。心の余裕を持つことで、心にゆとりが生まれ、心に余白ができます。余白があれば、立ち止まったときに、きっとあなたの心の支えになります。
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