理学療法士を目指した医療系院生がリンク・インタラックを選んだ真意とは?

インタビュー

ハンディキャップを持っている人の助けになりたいとの思いで理学療法士を目指していた濱部優さん。しかし病院での実習を通して社会自体を「バリアフリー」にすることが重要と思い直し、改めて自分と向き合うために、大学院へ進学。一貫して「障害」に向き合い続けた彼女が感じた、「本当の社会の在り方」と、理想の社会を実現するためリンク・インタラックを選んだ理由とは?

「環境づくり」へのフォーカス

伊瀬
濱部さん、本日はよろしくお願いします。早速ですが、大学院では何について勉強されてるんですか?

濱部
理学療法が専攻なのですが、その中でしゃがめる子供としゃがめない子供の違いは一体どこから生まれるのか、ということについて研究しています。

伊瀬
しゃがめない子…?あまりイメージがつかないのですが…

濱部
しゃがむ、と言っても「両足をくっつけて、かつかかとを上げずに膝を屈曲させる」ことですね(笑)

伊瀬
なるほど、それは意外と出来なさそうですね…

濱部
現在絶賛行き詰まり中です(笑)

伊瀬
リンク・インタラックへの内定が決まっていますが、学部4年の頃には理学療法士の資格も取得し大学院にも進学されて、理学療法の道まっしぐらの経歴ではありますが…

濱部
学部4年の夏頃までは病院に理学療法士として就職することを本気で考えていました。もともと、ハンディキャップを持っている人の助けになりたいと思っていて。私の弟がハンディキャップを抱えているのですが、そう言った背景の中で、自然とそう思うようになっていましたね。

伊瀬
なるほど。学部時代にはそれに関連して何か取り組んでいたんですか?

濱部
学部時代はアメフト部で学生スタッフのトレーナーとして選手の怪我を減らしたりする取り組みをしてましたね。

伊瀬
部活でも理学療法に関わる内容のことをやっていたのですね。

濱部
そうですね。色々と、日々苦しいことはありましたけど、やり切ったという事実は自信になりましたね(笑)

病院実習で感じた「違和感」

伊瀬
別の道を考えるきっかけは何でしたか?

濱部
学部4年の夏に病院実習があったのですが、それが自分の進路を一度考え直すきっかけになりましたね。

伊瀬
実際に真剣に検討していた医療現場で働くことを体感したわけですが、何があったんですか?

濱部
子供のリハビリを行っていたのですが、一人の子供に対して週1回や月に1回のペースでリハビリをすることが、その子の何のためになっているんだろうとふと疑問に思ったんですね。私がこの理学療法をこの子に対して行うことで、その子の人生にどれだけ変わるんだろうか、と。

伊瀬
なぜそう思ったのですか?

濱部
それまではハンディキャップを持っている人たちに対して直接アプローチする方法を考え、その手段として理学療法が有用だと思っていたんです。ですが実際理学療法の現場を目の当たりにした時に「これじゃ足りないな」と感じたんです。

伊瀬
具体的に、どういうことでしょうか?

濱部
弟を見ていてなんとなく感じていてことなんですが、ハンディを持った人自身がいわゆる健常者と同じように過ごせるよう成長することは大事です。しかし一方で、家族や学校など、周囲の環境が整っていることの方が重要なんじゃないかと。

伊瀬
いわば社会が「バリアフリー」になる必要があると?

濱部
大体そんな感じですね。実際に理学療法の現場を体験して初めて自分のイメージと実際のアプローチとのギャップが顕在化した形ですね。

伊瀬
なるほど。それからはどう動いていたのですか?

濱部
7月から就活を始めるのも難しいこともあり、一度考えるために大学院に進学することにしました。院試も8月にあってギリギリだったんですけど…(笑)

伊瀬
1ヶ月でよく通りましたね。そしてモラトリアムを得たと。

濱部
そう、まさにモラトリアムですね…(笑) 残りの学部の時間は部活・卒研・国試という感じで自分の進路について考える余裕はなかったですね。

モラトリアム中に見つけた「環境づくり」の大切さ

伊瀬
大学院に入学されてからは?

濱部
一つ自分の方向性に関わる事では、他専攻の発達支援の授業で、「障害というのは、周りの環境との関係性の中で生まれる」という概念を教えられたことですね。自分の思っていたことが言語化されたというか。

伊瀬
感じていたことがはっきりしたのですね。

濱部
その方向性を基に、院1年の夏あたりからそういった事に取り組んでいる企業を探して…という感じで就職活動を始めましたね。

伊瀬
軸がはっきりしてる分、就活では困らないように思うのですが、どのように進められましたか?

濱部
そうですね、発達支援をしているある会社を友人に紹介してもらって、そこから見る会社を広げていったという感じでしたね。

伊瀬
ではなぜ発達支援をしている会社ではなかったんですか?

濱部
事業領域としては本当にストライクゾーンだったんですけど、アプローチの仕方がやっぱり環境ではなかったので…

伊瀬
病院実習で感じたことと同じ事だと?

濱部
そう、「あー、なんか理学療法と同じだなー」って。やっぱり「苦手な事をできるようにする」ではなく「受け入れる環境を作る」というアプローチを私自身がしたかったので。

 

「環境づくり」が可能なリンク・インタラックに意思決定

伊瀬
その中でインタラックを選ぶ理由はなんだったのでしょうか?

濱部
自分とは異質な存在を通して、自分や他者を受け容れることを学ぶ事業を、広い範囲に対してできる、ということですかね。

伊瀬
事業としてはALTの先生を通じた英語教育ですが…

濱部
ALTの存在って、子供たちからすればすごい異質な存在じゃないですか。自分達とは外見も違うし、話す言葉も価値観も違うし…でも実際に接してみたら全然怖くないですよね?

伊瀬
確かに。

濱部
そういった存在との交流を通じて「自分は自分でいいんだ」とか「自分と違っても別に敵じゃないんだ」と思えるきっかけを作れたらいいなと思ったんです。しかもそれを公教育の中でやっているので全国の学校でそういった機会を作れるんです。

伊瀬
まさに「環境を作る」ということですね。

濱部
そうですね。自分の中ですごいしっくりときたというか。

感情が溢れるほどの原体験は「弟の存在」

伊瀬
面接などでは主に自分の軸についてお話されてたのですか?

濱部
そうですね。私の場合、弟についての原体験があったので、それが元でこういった事業に関わりたいんだ、ということは基本的に話していましたね。

伊瀬
伝え方などで工夫したことなどはありますか?

濱部
あんまりなかったですね(笑) 強いていうならば、一緒に就職活動をしている友人などに話を聞いてもらいながら自分で整理をしていったというくらいですかね。

伊瀬
最終的に人に話すわけですから、結果的にアウトプットの練習になってたのでしょうか?

濱部
そうかもしれませんね。そんなに工夫をしたりしなくても、自分でも話しやすい事ではあったので。

伊瀬
話しやすいということは、心の底から思ってるということですね。

濱部
本当にそうだと思います。なんなら一度面接でその話をしている時に泣いてしまって…

伊瀬
なんと…(笑)

濱部
質問自体が「自分の弟が障害を抱えていることで、周囲から不当な扱いを受けたことはないか」というもので。実際には起こらなかったんですけど、それを質問された時にめっちゃ泣いちゃって。

伊瀬
なぜなんでしょうか?できれば詳しく知りたいです!

濱部
人からは何も言われないけど、自分自身はどこか引け目に思っている部分が多分あって… そんな自分が嫌で感情が溢れてしまったのかもしれないです。

伊瀬
感情が溢れてしまうほどに強い思いだったのですね。

濱部
家族ですからね。そんな気持ちを持て余す時もありますけど。一方で周囲を変えることを目指すとはいえ、まず変わるのは自分自身からですね(笑)

伊瀬
そうですね。僕も耳が痛い言葉です(笑)

濱部
そんなこともあった中で、自分の熱い思いだったりはうまく言語化しきれてなくても伝わってたんだと思います。

伊瀬
感情が溢れるほどの原体験に基づく気持ちが、たとえうまく話せなくても伝わらないはずはないですね。

ALT派遣事業を通じて伝えたいこと

伊瀬
そんな熱い思いを持った濱部さんですが、4月からはどんなことに取り組んでみたいですか?

濱部
学校以外、例えば児童相談所などへのALTの派遣などにたずさわってみたいとはぼんやり思っていますね。

伊瀬
詳しくお願いします!

濱部
実際に児童相談所の子たちがどんな生活を送っているのか詳しく知らないのでなんともいえないのですが。その子たちが普段接しないような異質なALTの先生と接したら、「何?この人?」ってなりませんか?

伊瀬
多分、そうですね。

濱部
相手に対して「何?この人?」と感じた経験が、自分の状況を考えるきっかけになってくれたらなと。

伊瀬
なるほど。

濱部
あと純粋にその場を楽しんでもらえればなと。そこでの「楽しい」という経験を、自分にとってのやりたい事とかを見つけるきっかけにして、今後プラスの方向に歩んでいければな、と。

伊瀬
素晴らしいと思います。

濱部
ただ、現状をそこまで知らないのでなんとも言えないですね。

伊瀬
まずは知ることからですね。

濱部
あとは実際にインタラックが既に取り組んでいることなのですが、支援学級・学校へのALTの派遣にも関わりたいですね。

伊瀬
となると、結局実習の時と同じ考えに至りそうですが…

濱部
そうなんですよね。なので、その子たち、その学級だけでなく、交流学級を含めた皆んなの場でALTとの交流の機会を設けれたらな、と思っています。それは実際に取り組んでいるそうです。

伊瀬
4月からが楽しみですね!

濱部
就活という観点では、本当に納得のいく選択ができましたし、すごく働くことを楽しみにしています。

伊瀬
その熱い思いを是非貫いてください!期待しています!
本日はありがとうございました!

濱部
ありがとうございました!

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