「総合商社って結局どんなことをやってるの?」とは、商社に興味を持ち始めた就活生が必ず持ち始める疑問です。三菱商事や丸紅など、有名な総合商社は数多いけれど、展開する事業の幅が広すぎて、その全貌が見えにくいのが総合商社なのです。そこで今回の記事では、総合商社の特徴を4つ紹介するとともに、専門商社との違いや総合商社に必須のスキルなどについても解説していきましょう。
総合商社とは?特徴を4つ紹介!
それでは早速、総合商社の特徴を4点紹介していきます。特徴は以下のとおりです。
- 商取引をグローバルにおこなっている
- 総合商社独自の金融システムの提供
- 世界的なニーズの調査・分析と事業開発
- 新興国におけるオーガナイザーとしての発展支援
それでは各特徴について、詳しく見ていくことにしましょう。
商取引をグローバルにおこなっている
1つ目に挙げる総合商社の特徴は「商取引をグローバルにおこなっている」ということです。総合商社と聞いたとき、はじめにイメージするのはまさに商取引でしょう。地球全体の需要と供給の差を見極め「A国で何かを買い付け、B国に売る」というのがまさに総合商社の代表的な特徴の1つなのです。
総合商社独自の金融システムの提供
2つ目に挙げる総合商社の特徴は「総合商社独自の金融システムの提供」です。意外と思われるかもしれませんが、総合商社は金融システムを取引先に提供するということもあります。どのような場面で金融システムが活躍するのでしょうか。以下に例を見ていきましょう。
たとえばメーカーAと卸売業者Bがいるとしましょう。メーカーAで作られた部品などを卸売業者に仲立ちするのが総合商社の役目です。メーカーAの立場としては、部品を受け渡した後すぐに代金を支払ってほしいと考えています。一方で卸売業者Bとしては、部品が商品として売れるまで支払いの猶予期間を設けてほしいと考えています。この両者の希望の相違を解消するために、総合商社が間に立ち、メーカーAへ代金を支払い、その後、時期を遅らせて卸売業者Bから返済をしてもらうという流れを作ります。
このように総合商社が金融システムを提供することによって、メーカー・卸売業者の希望の相違を解消することができ、取引を活性化させることができるのです。
世界的なニーズの調査・分析と事業開発
3つ目に挙げる総合商社の特徴は「世界的なニーズの調査・分析と事業開発」です。総合商社は世界的な需要・供給によって利益を得る事業体なので、常にグローバルなニーズの調査・分析と、それに合わせた事業開発をおこなっています。
たとえば伊藤忠商事は、新規ビジネス・コンシューマービジネスに重きをおいた第8カンパニーという事業を保有しており、事業全体で常に新規開発をおこなっています。
新興国におけるオーガナイザーとしての発展支援
4つ目に挙げる総合商社の特徴は「新興国におけるオーガナイザーとしての発展支援」です。経済成長を迎えている新興国にとって必要なのは、早急な資源輸入・輸出インフラの整備、大型プロジェクトの推進などです。しかし、多くの新興国では国内のオーガナイザーが存在せず、国外からの組織化が必要となることがほとんどです。総合商社はそもそもインフラ整備や資源輸出入などを本義としているため、新興国において必要とされるオーガナイザーの役割を担うということが多いのです。
たとえば、豊田通商などはアフリカ事業として医薬品の集中在庫拠点・ショッピングモール事業などをおこなっています。医療や食糧などを含む文化供給などは新興国にとっては非常に重要なものなので、発展支援を総合商社がおこなうケースがあります。
専門商社とは?総合商社との2つの違い
さて、ここまで総合商社の特徴について4点紹介してきました。なんとなく総合商社とはどんなものなのかについて理解できたでしょう。しかし、多くの就活生が次に混乱するのは専門商社との違いです。グローバルな商取引をするのであれば専門商社でも可能。では、専門商社は総合商社とどういった点が違うのか。主な違いは以下の2点です。
- ビジネス規模の大きさ
- 扱う商品の専門性
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ビジネス規模の大きさ
1つ目に挙げる専門商社と総合商社の違いは「ビジネス規模の大きさ」です。先に挙げたとおり、総合商社は非常に規模の大きい商取引をおこなっています。豊田通商の例で見たように一国のインフラや医療を担ったり、ショッピングモールの建設・運営による文化供給など、影響を与える範囲が広範です。分かりやすく2019年の売上第1位を総合商社・専門商社で比べて見てみましょう。
- 三菱商事 :131,037億円
- メディパルHD :31,819億円
上記を見てみると、専門商社・メディパルHDに比べて三菱商事は約4倍もの売上高であることが分かります。ビジネス規模の大きさで言えば圧倒的に総合商社が大きいのです。
扱う商品の専門性
2つ目に挙げる専門商社と総合商社の違いは「扱う商品の専門性」です。専門商社はその名前の通り、ニッチな商品を小規模で扱うことによって利益を生み出しています。総合商社が扱うことができないようなニーズの規模のアイテムを二ヵ国間、三ヶ国間で流通させることができるのが専門商社の特徴です。一方、総合商社はある程度の需要があるモノやサービスしか流通させることができないという特徴があります。
総合商社に勤めるために必要な3つのスキルとは?
ここまで読んでいただいた方は、少なくとも総合商社に一定の興味を持っていると推察します。記事の最後に、総合商社に勤めるために必要な3つのスキルについて紹介していきましょう。必須スキルは以下の3点です。
- 言語力
- コミュニケーション力
- 現状へ疑問を持てる力
それぞれのスキルについて、簡単に見ていきましょう。
言語力
1つ目に挙げる総合商社に必要なスキルは「言語力」です。部署にもよりますが、総合商社で勤める中で英語を使う場面は多々あります。たとえばメールや電話、ミーティングなどを英語を駆使しておこなわなければならないことが多いのです。もちろん英語が得意なことが望まれますが、日常的に英語に触れなければならないため、英語を使うことに抵抗がないという気持ちの方が重視されます。
コミュニケーション力
2つ目に挙げる総合商社に必要なスキルは「コミュニケーション力」です。総合商社の営業ともなれば、世界のさまざまな人々と毎日顔を合わせたり、電話をしたりしなければなりません。そのため人と接することが好きな人、良好なコミュニケーションを取れる人が向いています。
現状へ疑問を持てる力
3つ目に挙げる総合商社に必要なスキルは「現状へ疑問を持てる力」です。総合商社の事業規模は非常に大きいため、現状に甘んじて、安定志向に陥ることが多いのです。しかし、世界動向が深く関わる仕事なだけに、現状維持をするだけでも常に改善をおこなっていかなければなりません。常に現状に問題意識を持ち続け、改善していける人こそ、総合商社に向いているのです。
まとめ
今回の記事では、総合商社の特徴を4つ紹介するとともに、専門商社との違いや総合商社に必須のスキルなどについても解説していきました。総合商社は名前に「総合」とついているとおり、とにかく幅広い事業をおこなうことを”専門”にした会社なのです。そのため各部署ごとに必要な人材は異なります。勤めたい総合商社の1部署に自分が適切でないと感じたとしても、もしかすると他に適性がある部署があるかもしれません。企業研究をよくおこない、自分にあった総合商社を見極めるようにしましょう。
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