最近、選考活動の中でよくみられるのがこの「グループディスカッション」。略してGDやグルディスなどとも呼ばれます。まだグループディスカッションをやったことのない人は、イメージがわきづらいかもしれません。そこで今回は、グループディスカッションとは何かをご紹介していきたいと思います。また、「これができれば必ず通過する!」という決定的な要因はありませんが、目的や人事が見ているポイントを知ることで、対策も可能ですのでそちらも是非参考にしてみてください。
①そもそもグループディスカッションとは?
グループディスカッションの定義
まず、グループディスカッションの定義からお話しします。一般的に、グループディスカッションとは、グループに与えられるテーマをグループで議論し、議論結果を発表することを指します。時折、発表はしなくてもよいというグループディスカッションもありますが、基本的には議論をまとめて、発表することが課せられる事が多いです。
また、企業によってはこの選考の過程のことを「グループワーク」と呼ぶこともあります。グループディスカッションは、テーマについて議論し結論を出したりするものですが、グループワークの中には共同で何かを作ったり、チームでなにか1つのことを行うという事例もあります。しかし、この2つの違いはあまり明確には定義づけされていません。なので、あまりその呼び名にこだわらず、両者とも与えられたテーマに複数の学生で挑み、人事はその議論や最終目標までの過程を評価する集団選考である、と認識しておきましょう。
グループディスカッションの流れ
グループディスカッションの基本的な流れを押さえておきましょう。
- チーム内で自己紹介をする。
- 人事担当者から、テーマや制限時間、ルールなどが伝えられます。
- ディスカッションスタート
- 個人ワーク→全体での話し合い
- グループでの意見をまとめる。
- 発表する。
①チーム内で自己紹介をする
ここでは学校名や氏名に加えて、簡単な志望動機なども言えるとgoodです。グループの人数は、5,6人であることが最も多いと考えられます。時々3,4人という少なめの人数であったり、8~10人という少し多めの人数の場合もあります。しかし、ほとんどの場合1グループ10人以下で構成され、それ以上の大人数になることはすくないと思われます。
③ディスカッションスタート
ここではまず初めに、司会や書記、タイムキーパーや発表者などの役割を決めておくとよいでしょう。人事担当者から、「役割を決めずにディスカッションしてください。」という指示があった場合は決めずに議論を始めましょう。また、制限時間内に結論を出せるよう大体のタイムスケジュールも決めておきましょう。
④個人ワーク→全体での話し合い
この流れが一般的と言えるでしょう。まず個人で資料を読み込んだり、自分の考えや意見をまとめたりして、その後全員でそれを共有します。
一般的な流れは以上ような流れです。しかし、テーマややり方によって少しずつ違ってくることもあります。
グループディスカッション当日は、なるべく早く会場に到着することをおすすめします!普通の説明会や個人面接であれば、集合時間の10分ほど前に到着すれば良いと思われますが、グループディスカッションでは、早く着いた人からグループの人たちと雑談を交わし結束を固めていることがほとんどです。
ディスカッションが始まる前に自己紹介の時間が設けられてはいますが、ほとんどの人がそれより前からグループ内での交流を深めています。議論する際に、自分がグループになじめているかいないかというのも大事な要素になってくるので、当日は早めに行ってグループの人と仲良くなっておきましょう。②心構えをしっかりと!
後ほど詳しく説明しますが、資料を読み込む系のディスカッションでは必ず個人ワークの時間が与えられます。そうでなく、自分の考えや事前に調べてきたことなどを議論する場合は、いきなり全体での話し合いに入る場合もありますので、その心づもりもしておきましょう。
②グループディスカッションのテーマとは?
グループディスカッションのテーマ例
先ほど述べたように、基本的にグループディスカッションには、「資料を読み込む系」と「自分の考えや思いを話し合う系」の2種類があります。ここでは、それぞれの説明と具体的なテーマ例を紹介していきたいと思います。
①資料を読み込む系
資料を読み込むのタイプのグループディスカッションでは、初めから1人1人に情報が記載された資料が与えられています。そして、個人ワークの間にその資料を各々で読み、重要な情報を整理します。
その後、全体の話し合いで自分が資料から読み取ったことや、それを踏まえての意見などを交換し合い結論を導きます。このタイプのグループディスカッションは、特に業界や自社に関するテーマに多く、読み取る資料も、製品の売上推移だったり、現在抱えている問題や社員の声など、量が多く複雑になっています。
①今後製品AかB、どちらを売っていけば20XX年までに●●億の売り上げを達成できるか
②20年後の自社の強みは?
③これからの自動車業界の将来性について
このタイプのグループディスカッションだと、業界研究や企業研究が必要とされることもあるので、軽く下調べしてから臨んだほうが良いと思います。
②自分の考えや思いを話し合う系
こちらのタイプのグループディスカッションでは、漠然としたテーマについて自分の思いや考えをグループで共有しあい、理解を深めていくという話し合いになります。読まなければいけない資料も特になく、こちらの方が一見楽そうに思われますが、テーマが漠然としているので答えを出すのが非常に難しいと言われています。
①社会人として必要な要素とは何か?(10個ある項目から3つ選ぶ)
②家族、友人、仕事、趣味、健康を順位付けするとしたらどうなるか?
③無人島にものを1つだけ持っていけるとしたら何を持っていくか?
③グループディスカッションで押さえるべきポイントとは?
①人事が重視しているポイント
グループディスカッションでよりよく評価されるためには、人事がこのディスカッションを通して何が見たいのかを意識すべきです。採用担当者は、グループディスカッションで「その学生が集団の中でどのように動くか」を見たいのです。
1対1の個人面接や集団面接でその人のそれまでの努力や人柄がわかったとしても、チームの中でどのような役割をする人なのか見極めるのは困難なことです。面接では判断することができない協調性やコミュニケーション能力といった部分を持ち合わせているかを人事は見ているのです。
②「グループリーダーが全て」ではないこと
「チームの中での役割だったら司会やリーダーが1番評価されるのでは?」と考える人もいるのですが、そうとは限りません。確かに、議論を円滑に進めたり全員の意見をまとめる役割をする司会者やリーダ的存在の人はチームにとって不可欠な存在です。ですが、みんながみんなそれを1人でできるわけではなく、リーダーの役目を補佐してくれる人、皆の意見を書き留めわかりやすくする書記の人、時間内にタスクが完了できるよう気にしている人、このような他の役割をきちんと全うしている人がチーム内にいるからこそ、リーダーの円滑に議論を進めることができるのです。
逆に言えば、リーダーだからと言って何でも1人で進めてしまって、チームの人が全員納得できるわけではないような結果になってしまった場合、そのリーダーはよく評価されるわけがありません。なので、自分の特性やそのチームの雰囲気を見て、自分に1番あった役割に徹するのが良い策と言えるでしょう。
③論理的思考力
採用担当者は学生がどんな思考を持っているかという点にも注目しています。社会人になると、与えられたことに対し、情報を適切に処理し、なるべく最短距離で目標を達成することが求められます。ですので、テーマを的確にとらえて議論すべき内容と進め方を論理的に考えられるかどうかが重要になってきます。
④人の話を聞くことをおろそかにしないこと
自分の考えだけを突き通すのではなく、相手の意見もしっかりと聞き、チームとしての答えが出せるように意識しましょう。グループディスカッションではとにかく話すことが大切だと考えている学生もいるかもしれません。しかし、グループディスカッションで最も大切なことは、「いかに人の話に耳を傾けることができるか」です。どんなに優秀な学生でも、どんなに素晴らしい閃きがあっても、人の話を聞くことができない人間を企業は求めません。
ここで言いたいことは、聞き手に徹しろということではありません。もちろん、自身の意見を人に伝えることも大切です。要はバランスです。自分の意見を伝える時はしっかりと主張し、他人が話している時はしっかりと耳を傾ける、この切り替えをするようにしてください。
では、上記のように人の話をしっかり聞くためにはどうすればいいのでしょうか。どういった点に気をつければ人事から高評価をもらえるでしょうか。そのヒントは以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
④グループディスカッションでやってはいけない行動
最後に、グループディスカッションでは厳禁とされている行動を5つピックアップしてみました。緊張する場だとは思いますが、これだけはやらないようにしよう!と頭に入れておくだけで当日の出来が格段に違ってくるはずですよ。常識レベルの基本事項もありますが、勉強してみましょう。
‐周りを気にせず自己アピールにいそしむ
グループディスカッションではよく見られるタイプの失敗です。とにかく自己主張したものが勝つと思い込み、周りの発言権も無視して自分でべらべらと喋りまくる人です。実は、こういうタイプの学生が1番採用担当者から嫌われます。周りのことを考えないということは、協調性がないということ。喋らなすぎもよくないですが、喋りすぎはもっとよくないということです。
社会人には、空気を読んだり周りの人の気持ちを察しながら行動する力が求められます。周りに積極的に話を振ったりして、「相手の気持ちを考えられる人アピール」をしましょう。
‐制限時間を無視する
グループディスカッションはだいたい、20分間~40分間程度の時間を与えられてその中で議論を行います。中には、その時間内で発表の準備まで終わらせないといけない場合もあります。
「少しくらいオーバーしてもいいんじゃない?」と思ってはいけません。採用担当者は、ここで「時間やルールを守れる常識力」をチェックしています。与えられた時間の中でどれだけ自分の力を出せるか?ということです。時間さえあればなんでも出来る、というのはみんな同じです。
‐メンバーの意見の悪口を言う
「ディスカッション」とは喧嘩ではありません。それぞれの意見のよいところをみつけて、最終的に1番良い結論を出すのが目的です。よって、他のメンバーの意見を批判したり、「そんな考えおかしいんじゃない?」と悪口を言ったりするのは厳禁なのです。
また、多数決で意見を決めるのも絶対にダメです。意外とやってしまいがちですが、これをやってしまうと「話し合って意見を決める」というグループディスカッションの基礎が崩れてしまいます。互いの意見を尊重する意識を忘れずに!
‐最初から最後まで無言
喋りすぎもダメですが、もちろん喋らなすぎも絶対にダメです。全員に話を振ろうとしているグループリーダーが可哀想ですし、一言も言葉を発しない人が選考に通るとは思えません。
たとえどんなに緊張していても、3回は自分の意見を述べられるように覚悟を決めておいてください。最初はただの相槌でもかまいません。「自分は積極的にこのグループディスカッションに参加している!」という雰囲気が出せるようにしてみましょう。
‐議題と関係ないことを話す
おしゃべり好きな人に多いのですが、グループディスカッションの議題とはまったく関係ないことを喋ってしまうのもダメです。他のメンバーからしてみたら、その話に乗ってしまうだけで、選考に落ちるリスクを背負います。議論そのものの雰囲気も悪くなりますし、控えてください。
また、人が話している時に勝手に発言したり、ひとりごとをぶつぶつ言っているのも印象がよくありません。「自分がされたらどう思うか?」を胸に問いかけながら、ひとつひとつの行動を吟味していってください。
⑤グループディスカッションについてのまとめ
グループディスカッションが何か、その目的やポイントなど理解していただけたでしょうか?最初にお伝えした通り、これをやれば絶対に通過するというものはありません。ですが、グループディスカッションで何が見られているか、何が求められているかを理解することで、通過率が上がることは間違いありません。
必ずしもリーダーや目立つ存在でなくてもよいので、自分がどのようにしてチームの理論に貢献できるか考えながらディスカッションできるとよいですね。グループディスカッションとは何か知るだけでなく、これを踏まえて対策を練って頂けたらと思います!
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