「初対面の人たちとどうやってディスカッションを展開すれば良いかわからない」
グループディスカッション(GD)の進め方について悩む就活生は多いのではないでしょうか。インターンシップ選考や本選考でグループディスカッション(GD)を課す企業も少なくはありません。グループディスカッション(GD)は、質問がある程度想定できる面接とは違います。模範解答が存在しないですし、どんなメンバーと議論を展開することになるか予測することもできません。
グループディスカッション(GD)対策を入念に行うためには、まず進め方とコツを知る必要があります。今回は、グループディスカッション(GD)の進め方と、コツについてご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
そもそもグループディスカッションとは?
そもそもグループディスカッション(GD)とはどんなものなのでしょうか。進め方やコツを理解するにあたって、まずはグループディスカッション(GD)とは何かを知る必要があります。
グループディスカッション(GD)は、就職活動における選考のひとつです。ディスカッションでのグループの組み合わせ人数は、少ない場合で4人、多い場合は10名以上になります。そのグループ内で一つの議題についてディスカッションを行い、30分〜1時間程度で結論を導き出します。企業によっては、その後結論の発表を行う場合もあります。
より詳細にグループディスカッション(GD)について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。グループディスカッション(GD)の定義や押さえるべきポイントをご紹介しています。
・グループディスカッションを行う理由とは?
どうしてグループディスカッションはこんなに重視されるようになったのでしょうか。それは、グループディスカッションを1回行うだけでたくさんのメリットがあるからです。ここでは、そんなグループディスカッションのメリットや「行う意味」そのものについてまとめていきます。意味を理解してから準備すると、効率もアップしますよ!ここでは、5つのメリットについて紹介していきます。
‐コミュニケーション能力の有無をチェックする
社会人の必須能力であるコミュニケーション能力。誰ともコミュニケーションを取らずにできる仕事はあまりありませんし、自分の気持ちを過不足なく伝えるには最低限のコミュニケーション能力がないと始まりません。仕事の指示も出せませんし、感謝の気持ちも伝えられません。
グループディスカッションだと、数名のグループの中で話し合いをしなければなりません。自分の意見も言いつつ他の人の意見もまとめないといけませんし、コミュニケーション能力のチェックをするにはもってこいなのです。面接では見られない素質を見ることが出来るので、近年グングンとグループディスカッションの実施率が上がっているのです。
‐そもそも業務に必要だから
業種や職種によっては、グループディスカッションそのものが業務に必要な作業だったりします。チームに分かれて話し合いをして作業を進めるのが業務の場合、新卒採用選考の時点でそれがまったくできていないとお話になりません。
新卒と言えども、きちんとした社員のひとり。少しでも業務にマッチングした学生を採用したいのが本音です。
‐普段の学生の顔が見られるから
選考の場となると、学生は内定をもらうために必死に自分自身を作りこんできますよね。でも、企業としては普段の皆さんの顔が見たいと思っています。面接では自分の喋る内容を事前に決めておけば問題ありませんが、グループディスカッションは何が起こるかわかりません。そのぶん、急なトラブルに対応する度に普段の自分の性格が顔を出すのです。
作りこんだ偽物の自分を評価されるよりも、そのままの自分を評価された方が絶対に未来に続きます。
‐大量に足切りができるから
大企業や人気企業の場合、選考の早い時点でかなりの人数を不採用にして足切りしなければなりません。グループディスカッションは、その点に長けています。一定の時間を設けて好きに話させれば良いのですから、選考方法としてもかなり楽です。
あまり採用する気がない微妙な人材と面接する時間がもったいないですし、そのぶん秀逸な人材を厳選しておきたい。そんな気持ちに応えた選考方法だというわけです。
‐主体性や能動性の確認
今の時代、受け身な日本人もどんどん能動的に行動して主体性を見せなければならなくなりました。グループディスカッションでの発言を見ていると、その確認が出来ます。
ただし、周りのことを鑑みずに自分の話したいことだけを話していると不採用になる確率がぐんと上がります。あくまでここで言う能動性は、「空気を読んだ能動性」。周りの人達を不快にしないよう気を配る必要があるのです。そんな素質をチェックできるのも、グループディスカッションの良いところであります。
グループディスカッションの進め方
ここからは本題であるグループディスカッション(GD)の進め方についてご紹介していきます。進め方を理解することで、タイムキーパーなどの役割を担うこともできますので、この機会にポイントを押さえておきましょう。
制限時間はおよそ30分〜1時間程度
グループディスカッション(GD)を進めるにあたって、まずは時間制限を把握しておく必要があります。制限時間によって進め方も大きく変わってくるからです。複雑な議題になるほど制限時間は長くなる傾向にありますが、基本的に30分から1時間の間で設けられることが多いでしょう。
30分と聞いて、「意外と長いんだな」と感じる方もいるかもしれませんが、実際にグループディスカッション(GD)を行ってみると非常に短く感じます。タイムキーパーがしっかりと時間管理をできていないグループの場合には尚更です。「議論に時間を取られて結論まで辿りつかなかった」なんてこともあるよくあります。もちろん、時間が足りずに結論を導き出せなあった場合、評価は下がります。
ですから、以下で紹介する進め方をしっかりと理解してグループディスカッション(GD)に挑む必要があります。
自己紹介と役割を決める
グループディスカッション(GD)が始まったら、まず始めに簡単な自己紹介をします。大学名・学部・氏名などの簡単な自己紹介で良いでしょう。自己紹介が終わったらそれぞれの役割を決定します。役割は大きく分けて以下の4つに分類されます。
- 司会者:議論で論点の整理や方向性の明確化を行う。
- 書記:メモを取ってそれぞれの意見をまとめ議論を潤滑化する。
- タイムキーパー:ディスカッションの時間を管理する。
- 発表者:結論を簡潔にまとめて発表する。
自己紹介・役割分担に割く時間はおおよそ2〜3分程度にしましょう。
それぞれの役割に適した性格や、どういった仕事をするのかについては以下の記事を参考にしてください。
時間配分を決める
自己紹介と役割分担ができたら、次に大まかな時間配分を決定しましょう。ここで大まかな時間配分をメンバー間で共有しておかないと、グダグダと議論が長引いてしまい、一番大切な結論を導き出すことができなくなってしまいます。結論が薄い内容になってしまっては本末転倒です。
そうならないために、ここで意見出しや整理、結論の準備など、何にどれだけの時間を割くのかといったタイムスケジュールを作成しておきましょう。タイムキーパーが先導して時間配分の決定を進めるようにしてください。時間配分に割く時間はおおよそ2分程度にしましょう。
議論の方向性を決める
大まかな時間配分が決まったらいよいよ本題です。議論の方向性を決定しましょう。「議論の方向性を決める」と言うのは簡単ですが、これが意外と難しいです。特に抽象的な議題だとメンバー間で感じ方に相違があります。
例えば、「日本のグローバル化について」という議題で考えてみましょう。これを「移民の受け入れによる宗教問題」と考える人もいれば「外国人観光客によるインバウンド収益増加」などと考える人もいるでしょう。議題に対する感じ方は人それぞれですよね。
このように、議題が抽象的であればあるほど、方向性はバラバラになってしまいます。方向性がバラバラなまま議論を展開してもまとまりがなくなってしまいます。そうならないために、方向性を一元化しメンバー間で共有するようにしましょう。
議論の方向性は結論のクオリティに直結する非常に大切なパートです。多少時間をかけても良いので全員が納得できる方向性を確立しましょう。
意見を出し合う
議論の方向性が固まったら、意見を出し合いましょう。グループのメンバー全員が議論に参加できるように心がけ、できるだけ多くの意見やアイディアを出し合います。ここで大切なのは「どれだけ意見を言いやすい雰囲気にするか」です。意見を様々に引き出すことができれば、最終的な発表のクオリティも向上します。
意見が言いやすい雰囲気づくりのためには、以下の5つのポイントがあるでしょう。
- 他人の意見を否定しない。肯定的な態度で他の人の意見を聞く。
- 他人が話している時は聞く姿勢を。傾聴力は評価のポイント。
- 反応を示す。「なるほど」「確かに」など相槌を打つことが大切。
- 意見を言いづらそうにしている人に話をふる。
- 些細なことでも積極的に発言する。アイデアの質は後々精査する。
意見の出し合いは15〜20分を目処に行いましょう。ここが一番時間を割くべきパートです。
意見を整理する
意見がある程度出たら、次に意見を整理しましょう。集まった意見・アイディアをタイプ別に分けていくと整理しやすいでしょう。意見をうまく整理することができれば、グループ全体の評価も上がることでしょう。
意見を整理する際には書記が中心となって進行する必要があります。先ほどの「日本のグローバル化について」の議題で言えば、以下のようにまとめられるでしょう。
日本のグローバル化について、私たちはインバウンドによって消費売上を伸ばす方法について方向性をまとめてきました。その中で、以下の二つの意見にまとめられました。
一つが、「集客数を上げる方法」でした。この方法について〇〇という意見がありました。もう一つが「客単価を上げる方法」でした。この方法について〇〇という意見がありました。どちらも良いアイディアだと思いますが、結論をどちらに持っていくのが良いでしょうか?
このように、タイプ別に分けることでこれからどんな議論を進めれば良いのかが明確化します。
意見の整理については、6〜8分以内に終えられると良いでしょう。
結論を導き出す
意見を整理することができたら、いよいよ結論を導きだします。ここでの評価基準としては、いかに合意的な決定を下せるかどうかです。間違っても多数決をしてはいけません。
「●に関して●という結論に至った→その理由は●●というもの」といった論理的な思考も必要になってきます。論理性がないと、発表した際に突っ込まれる原因になってしまいます。論理性を高めるためには5W1Hが便利です。
- What:何をするのか
- Why:なぜするのか
- When:いつするのか
- Where:どこでするのか
- Who:誰がするのか
- How:どうやってするのか
以上6つのポイントを押さえて論理的な結論を導きだしましょう。
結論を導き出すためには想像以上に時間がかかります。5~7分ほど時間を取れるよう、あらかじめ結論に費やす時間を意識して議論を展開させましょう。
発表をする
最後は発表者による発表です。他の参加者に伝わるように、わかりやすい発表を心掛けましょう。そのためには、結論を導き出す際の5W1Hを意識して発表しましょう。
発表には制限時間が設けられていないこともありますが、2〜3分で発表し終えられると良いでしょう。ダラダラと話していると、どんなに良い議論をしたとしても良い印象は与えられません。
では、簡潔かつポイントを押さえた発表をするためにはどうすれば良いのでしょうか。その方法の一つとして、PREP法があります。PREP法はグループディスカッション(GD)に限らず、面接やESでも非常に大切な方法になってきます。是非この機会に覚えておきましょう。
Point(結論):一番伝えたいこと。どんな結論なのか。
Reason(理由):結論に至った理由。
Example(具体例):理由に関する具体例や根拠
Point(結論):最後に結論をまとめる
PREP法については以下の記事でより詳しくまとめています。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
グループディスカッションの進め方のコツ
ここからは、グループディスカッション(GD)を円滑に進めるためのコツをいくつかご紹介します。これらのコツをつかむことで、グループディスカッション(GD)で高評価を得ることができるようになるでしょう。
会場に着いたらグループ内でアイスブレイクを行っておく
グループディスカッション(GD)を円滑に進めるためには、選考会場に着き次第、同じグループ内のメンバーと雑談などしてアイスブレイクをしておくと良いでしょう。といのも、話したこともない相手といきなり議論を交わすことは、緊張してしまう可能性が高いからです。「こんなことを言って変に思われないかな」などと考えていたのではグループディスカッションを通過することは困難です。
また、あらかじめ雑談を交わしておくことでグループディスカッション(GD)時におけるクラッシャーを事前に把握しておくことができます。緊張感やお互いの警戒心を解くためにも雑談して開始を待つことをオススメします。
時事問題を確認しておく
上記で説明したように、グループディスカッション(GD)では全員が積極的に意見を主張することで議論を円滑に進めていく必要があります。グループディスカッション(GD)では多くの場合、時事問題を扱うことになりますが、その際に対象の時事問題を知らなければ活発に議論を交わすことができません。議論を交わすことができなければ無論、評価の対象外です。ですから、日常的に時事問題に触れておくようにしましょう。
時事問題を確認するためには、やはり日本経済新聞が良いでしょう。社会人にとって、日経新聞の時事ネタを知っていることは常識です。学生の今のうちから新聞を読む癖をつけておきましょう。また、以下の記事でもご紹介していますが日経新聞は業界研究にも役立つため一石二鳥です。
新聞を取ることができない就活生の方はスマホのニュースアプリをインストールしておくと良いでしょう。Yahoo!ニュースやSmartNewsなどが最適です。
実践練習を重ねる
グループディスカッション(GD)に慣れる一番の近道は、とにかく数をこなすことです。グループディスカッション(GD)といっても、その種類は様々です。選考を突破するためには、それぞれの種類のグループディスカッション(GD)の特徴をつかむ必要があります。この特徴を掴むためには、やはり実践経験あるのみです。
また、グループディスカッション(GD)の議論は常に円滑に進むとは限りません。なかには「クラッシャー」と呼ばれる人もいます。クラッシャーは、他人の意見を真っ向から否定したり、意見を全く聞かない、筋違いな意見を主張するなどして議論を妨げてきます。こうしたクラッシャーへの対応力をつけるためにも、実践練習を積む必要があるでしょう。
上記で記載したグループディスカッション(GD)の種類については、以下の記事で詳しくご紹介しています。参考にしてみてください。
グループディスカッションの進め方まとめ
今回はグループディスカッション(GD)の進め方とコツについてご紹介してきました。いかがだったでしょうか。グループディスカッション(GD)に苦手意識を持っている就活生は多いですが、コツさえ掴めば突破はさほど難しくありません。様々な企業のグループディスカッション(GD)選考に参加して、実践に慣れましょう。「この人議論の仕方が上手いな」と思える人からテクニックを盗むのも一つの手段でしょう。
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