留学・学生団体・アルバイト・部活動のマネージャーとたくさんの経験をした筑波大学社会・国際学群国際総合学類の渡辺祐里さん。忙しい中でも自分らしさを追求し続けた彼女が、どのようにして自分自身と向き合い、就活を前向きに進めることができたのか。
やりたいことを仕事にする、その方法を余すことなくお伝えいたします!
人の心を繋げることがしたい
平川
今日はよろしくおねがいします!早速ですが学生生活で頑張ったことを教えてください。
渡辺
よろしくお願いします。2つあって、1つ目はスターバックスでのアルバイト、2つ目は学生団体の活動です。
平川
数あるアルバイトの中でスターバックスを選んだ理由などありますか?
渡辺
アルバイトをするなら、人と人との繋がりを感じられる場所でしたいと思っていました。
平川
繋がりですか。そう思ったきっかけなどはありますか?
渡辺
高校生の修学旅行でいった沖縄の民泊がきっかけです。1泊という短い時間だったけど、民泊のお父さん・お母さんには本当に温かく接してもらい、そんな短い時間で人の心と心が繋がれるという経験をしました。
平川
素敵なお話ですね。そのような経験から接客を選んだということでしょうか?
渡辺
そうですね。同じような経験をもう一度味わいたい、そして他の人にも味わってもらいたいという理由から接客ができるアルバイトに決めました。
平川
接客ができるアルバイトはいっぱいあると思いますがその中でもスターバックスを選んだ理由はなんでしょうか?
渡辺
高校生の頃よく通っていたというのが大きな理由です。思いかえしてみると、通っていた頃にも人との繋がりや温かさを感じることがたくさんあったなって。それで、コミュニケーションや自主性を大切にしているスターバックスで働くことを決意しました。
平川
ちなみに、今でも沖縄のお二人との繋がりはあるのでしょうか?
渡辺
会ったのはそれっきりだけど、今でも電話をしたり、手紙を書いたりしています。人と人との繋がりの大切さを心から感じられた私の原体験となっています。
平川
素敵なお話ですね。また会えるといいですね。
チャレンジできる場
平川
人との繋がりを大切にして、アルバイトを始めたとのことでしたが、実際にやってみてどうでしたか。
渡辺
自分が楽しんで仕事をすることの大切さや人と人との心がつながる瞬間に立ち会えて、人にエネルギーを与えることができる喜びを感じました。そして、このような価値を世の中に提供することを仕事にしたいと思いました。
平川
なるほど。アルバイトが就活に影響をもたらしているんですね。

自分が楽しむことで人を幸せに
平川
2つ目に頑張った学生団体ではどのようなことを行いましたか?
渡辺
「サッカー×社会貢献」を軸にサッカーに関係するイベントを行い、その収益でカンボジアにグラウンドを作ったり、実際に行ってサッカーを教えたりしていました。
平川
カンボジア!随分と遠くですが、なぜカンボジアに支援しているのでしょうか?
渡辺
創設者の話になってしまうんですが、設立当時には東南アジアの最貧国に近く、また人の笑顔などの人柄が好きになったからと聞いています。そして、その思いを今も受け継いでいます。
平川
そんな理由があったんですね。海外への支援活動はハードル高そうですが、どのように行っていましたか?
渡辺
KHJという現地の会社と連絡を取り合っており、グラウンド建設や視察などその会社を通して全てやりとりを行なっていました。この会社は自分たちの理念に共感をしてくれており、大切なパートナーとなっています。
平川
それでは、渡辺さん自身は実際に活動を行っていく中でどのようなことを感じましたか?
渡辺
改めて私は人が好き、スポーツが好き、子供が好き、そしてチームで何かをやることが好きなんだなって感じました。そんな自分が好きなことで、自分が楽しむことによって誰かのためになるって最高じゃないですか?大変なことはあったけど、どの場面も楽しかったという気持ちが大きいです。
平川
素敵な活動ですね。自分も相手も幸せにしてきた大学生活だったんですね。

日本のホスピタリティの素晴らしさ
平川
アルバイトに学生団体に忙しい中で、渡辺さんはいつ頃から就活を始めましたか?
渡辺
3年の夏にインターンに行ってみようと思ったのが始まりです。ただ、その時はアルバイトの方が楽しく、また成長できる実感があったので長くても3日程度のインターンにしか参加してません。
平川
そうなんですね。その時はどのような業界や企業を見ていましたか?
渡辺
主にエアラインを見ていました。職種はCAとグランドスタッフの両方ですね。
平川
確かに人と人との繋がりは感じられそうですが、エアラインを選んだ理由はなんですか?
渡辺
夏休み前に行っていたマレーシアへの留学の中で、様々な人と出会うことの楽しさと、改めて日本ならではのおもてなしの素晴らしさに気づきました。年代国籍問わず様々な人を相手におもてなしができるのは航空業界だと思って、意識するようになりました。
平川
留学していたんですね。どうしてマレーシアを選んだのでしょうか?
渡辺
1つ目の理由は夏が好きだったから、あったかいところに行きたかった(笑)もう1つは、日本での生活の中でマレーシアの友達ができたから。その友達と出会って、初めて宗教文化に触れました。
渡辺
そして、今とは違う環境に身を置くことで、興味のあった異文化共存や多様性が感じられ、自分自身についても考えるきっかけになるかなと思い、多民族国家であるマレーシアへの留学を決めました。
平川
なるほど。留学をすることで、自国を外から見るきっかけがあったんですね!ではエアラインではどのような仕事をしたいと思っていましたか?
渡辺
年代・性別・国籍関係なく多くの人と出会える場所は空港なので、そこで日本の良さを使って、世界の人々の心と心を繋いでいきたいなと思っていました。
平川
渡辺さんが考える、日本の良さってなんだと思いますか?
渡辺
謙虚さ、誠実さ、丁寧さ、優美さ。相手のために尽くすことができるのは日本ならではだなと留学で感じました。そんな日本のおもてなし文化は心をつなぐパワーがあると思います。
平川
日本にいるとなかなか考えない部分ですよね。それでは、渡辺さんならどのようなおもてなしをしますか?
渡辺
相手の立場に立ち、誠実に人と向き合い続ける。そうすることで、相手に温かい瞬間や繋がりを与え、それが活力や豊かさの源となると思います!
平川
なるほど。私も普段の生活で意識してみようと思います!

変わらなかった大切なこと
平川
エアラインから始めた就活でしたが、どのようにして企業を選んでいきましたか?
渡辺
私はとにかく人が好きでした。小さい頃からチームで何かをしたりすることがすごく好きだったし、1人でやってきたことはなにもないなと。だからチームで仕事をしたいと思っていました。あとは、そこにいる空間みんなの気持ちが同じになれるような職場がいいと思っていました。
平川
なるほど。部活のマネージャーをしていたと聞きましたが、同じ理由ですか?
渡辺
そうです。みんなで一つの目標に向かって一致団結して、切磋琢磨することが好きでした。そんな風に、チームで何かを成し遂げる、というのも企業選びの軸の1つでした。
自分を知る
平川
一貫して、人と人、心と心の繋がりを重視していたんですね。でも多くの就活生は渡辺さんのように明確に「自分の軸」を見つけることができなくてみんな悩んでると思います。
渡辺
そうですね。私の場合は自分史を作りました。ノートに幼稚園生からの頃の自分を1年ずつまとめていきました。
平川
幼稚園から!思い出すのが大変じゃないですか!?
渡辺
実家にあるアルバムの写真を見ながら、その写真を見ながらその時の気持ちを振り返って、この時から自分こんなだったんだ、この出来事は衝撃的だったな、などを掘り起こしていきました。
平川
なるほど!記録から記憶を掘り起こす方法ですね!具体的にどのようなことに気づけましたか?
渡辺
今の自分の性格は変わっていないなということに気づきました。変わらない部分はこれからもきっと変わらないと思うから大事にしないとなと思いました。就活に限らず人生において自分の軸に反することはしないようにしようと感じましたね。
平川
過去の自分と、現在の自分の共通の行動原理を再認識したんですね。
渡辺
そうです。ただ、このノートは絶対誰にも見せれません(笑)
平川
そう言われると、見たくなるので僕だけに見せてください(笑)
渡辺
絶対嫌です。(真顔)

多様性に気付いた留学
平川
では、気を取り直して次に就活で1番語っていたエピソードについて教えてください。
渡辺
マレーシアへの留学です。マレーシアって日本と違って色々な宗教の人が共存している国で、食べるものも着る服も話す言葉も違う。文化がそれぞれ違う中で、人との違いをしっかりと理解し生きている人が多かったことにとても衝撃を受けました。
平川
多民族国家ならではですね。そのギャップでどんな事に気づいたのですか?
渡辺
自分らしさを表現する事やそれを受け入れることの大切さに気づきました。20年以上生きてきて身についた感性や個性など自分だけが感じられることを活かして働きたいという思いがあってそれがより強くなりました!
平川
日本でも多様性を理解しようってよく言われますが、実際に触れてみる事で気づきが生まれるのかもしれませんね。
平川
でも日本ではマジョリティに流される風潮もまだまだ強いですよね。
渡辺
そうですね。でも、自分らしく生き抜いている友達に出会い、人と違うことは当たり前ということを受容し、理解していくことが大切だと気づけました。それを面接でも話していました!

中華料理店での衝撃
平川
マレーシアで1番印象に残っている大きな出来事などありますか?
渡辺
あります!中国人の友達に誘われて中華を食べに行くことになりました。そうしたら、イスラムの友達も行きたいと言い、3人で中華料理店に向かいました。
平川
それでそれで?
渡辺
でも車の中で気づいたのですが、中華はハラル料理ではないからイスラムの子は食べられない。でも、聞くこともできず、どうするのだろうかと私は考えていました。
平川
イスラム教ですもんね。そのあとはどうしたんですか?
渡辺
いきなり違う店の前に停まり、イスラムの子が降りて、ハラルのお寿司を買って戻ってきました。そして、そのまま中華料理店に行きました。
平川
それから・・・?
渡辺
2人で中華を食べている横で普通にお寿司を食べていました。でも、お店の人に許可をとるわけでもなく、他の子が中華を食べていることに対していいなという目で見ることもなく、逆に他の子が哀れな目で見ることもなく。本当に自然でした。
平川
日本では信じられない光景ですね。
渡辺
共存、多様性を認めるってこういうことか!と思いましたね。お互いを認め合うことを目の当たりにした経験は衝撃的でした。
平川
すごい経験でしたね。それをありのまま就活で話したと。ちなみに、渡辺さんらしさってなんだと思いますか?
渡辺
人の笑顔のためにとことん尽くせること。人の笑顔で自分が満たされて、幸せになっていくことで生きていける人間なんだなって思います。
平川
なるほど!

就活マイルール
平川
就活の話に戻りますが、一番意識していたことはありますか?
渡辺
弱音を吐かないこと!就活は強制されていることではなく、こういう人生にしたいっていうのがあって、そのために能動的にやっていることだからマイルールとして弱音を吐かないことを決めました。
平川
とても前向きですね。
渡辺
ネガティブな言葉を発すると気持ちも下向きになってしまう。やる気も出なくなってしまうと思っていました。でも、就活ってすごく短期間だなと思うので、最高の結果を迎えるためにモチベーションを高く保っていました。

平川
でも、本当にしんどい時ってありますよね。そんな時はどうしてましたか?
渡辺
アルバイトをしていました。お客さんに心を尽くしたおもてなしをすることで、自分がやりたいことを再確認したり、常連さんや仲間から「大丈夫だよ」という温かい一言をもらうことでまた頑張ろうと思えていました。
平川
渡辺さんにとってスターバックスはただのアルバイトではなくて、心をリセットする場でもあったんですね。

星野リゾートを選んだ理由
平川
話は戻りますが、でもどうしてもともとはエアラインを志望していたのにホテル業界にも興味を持ったのですか?
渡辺
私は、業界を絞るというよりも、企業ごとで見ていました。人との繋がりやおもてなしを軸としながら、その中で企業理念だったり、OBOG訪問であった人の話などを参考にして決めていきました。
平川
業界にとらわれるのではなくいかに自分がやりたいことが実現できるかを考えていたんですね。
渡辺
はい。そのように企業を探していったことで、結局業界としてはエアラインやホテル業界、ブライダルなど幅広くなっていきました。企業を探す際は業界にとらわれすぎず、幅広く見ていくことも大切だと思います。
平川
確かに、業界だけを追っていくと出会えない企業などもありますよね。
平川
では、次に選考について教えてください!
渡辺
最初は一般的なグループ面接でした。ただ、その後が他の企業とは違い、デシジョン・サポートと呼ばれる意思決定を手助けしてくれるというものでした。
平川
デシジョン・サポート?初めて聞きました!具体的に教えてください!?
渡辺
自分がここで働くかどうかは自分で決める。そのための意思決定のお手伝いをしてもらえるというものです。人によって面談だったり、グループワークだったりを選ぶことができます。
平川
良い制度ですね。でも悩みそうですね。
渡辺
迷っていることも伝えた上で、電話で相談なども乗っていただきました。催促など一切なく、気になることはなんでも聞いてくださいという姿勢で、本当に私に託してくれていたというイメージでした。
平川
それが星野リゾートさんの働き方の本質なのかもしれませんね。面接はいかがでしたか?
渡辺
形式的ではなく、深掘りをたくさんしていただき、意見なども言ってもらえるので自分だけでは気づけなかったことも気づけました。1番自分らしく、素直に伝えたいことを言えた面接だったと思います。

平川
ブライダル、エアライン、そして星野リゾートの3社から内定をいただいた中でどうして星野リゾートを選択したのでしょうか?
渡辺
たくさんあるのですが、一言で言うと自分が興味あることが全部含まれていたのが星野リゾートでした。
平川
具体的には?
渡辺
統一美ではなく個性を活かし、日本らしさを持っている。さらに、地域を盛り上げるブランドから高級志向なホテルまで興味の幅も広いなと感じていました。
平川
個性・多様性・日本らしさ。これはずっと一貫してますね!
平川
事業内容に共感したみたいですが、ヒトや働き方も関係してますか?
渡辺
組織文化も魅力でした。フラットな組織で年次関係なく声を上げられる会社です。誰にでも状況を変えてチャンスが与えられていて、挑戦する場がたくさんある、自分次第で成長し続けることができるんだろうな、と感じわくわくしました。
平川
なるほど。
内定をもらえた秘訣
平川
結局、星野リゾートを含め3社から内定をもらえたみたいですが、ぶっちゃけその秘訣はなんだと思いますか。
渡辺
今振り返って見ると、内定をいただいた3社の面接は自分が言ったことに本当に嘘がなく、軸を持って発した言葉でした。
だからこそ、真剣さが相手の心に届いたと思います。
だからこそ、真剣さが相手の心に届いたと思います。
平川
ありのままの自分って事ですね。でも女の子ってSNOWでは詐欺りますよね?
渡辺
・・・・・
渡辺
嘘はやはり口ごもったり堂々と話せなくてすぐばれますね。逆に嘘を言わないといけないような企業は行きたくないと思っていました。ありのままの言葉で、いかに心から思えていることを伝えるかが大切だと思います。
平川
等身大の自分を見せることが内定への秘訣の1つなんですね。
後輩へのアドバイス
平川
たくさんの就活に関する話をしていただきましたが、後輩に向けてアドバイスなどはありますか?
渡辺
自分の軸をしっかり持って、周りに左右されないこと。軸はなんでもいいと思うけど、しっかりと自分の心の声に耳を傾ける。周りが決まって焦ることもあると思うけど、だからこそ何があっても体現したい軸を持つことが一番大事だと思います。
なりたい自分に向けて
平川
4月から働くうえでやってみたいことや実現したいことはありますか?
渡辺
人の心と心が繋がる価値を世の中に広めて行きたいと思っています。星野さんの言葉で、旅産業が平和維持産業になるという言葉があります。
平川
どういうことでしょうか?
渡辺
私なりの解釈で、例えば私はマレーシアに留学に行った。そこで友達ができ、友達を大切にすると同時にマレーシアという国を大切に思うようになる。
平川
なるほど。わかります。
渡辺
だから、例えばマレーシアと戦争をするとなった時に私は嫌ですと声を上げられる。届く届かないではない。そういう人と人との繋がりが増えることで国と国との繋がりが増える。
平川
深いですね。
渡辺
旅することでそう思える国が増える。そんな繋がりが増えることで地球全体の繋がりが深くなると。そうしたらきっと世界は平和になると思う。だからこそそれを日本のおもてなし文化を通してやってみたいと思います。
平川
すごく感動しました、世界平和の一つの答えかなと思いました。
渡辺
そのために残り半年は日本の文化を勉強したり、英語を勉強したりと思っています。
平川
本当に素敵な話でした。平和な世界の実現に向けて頑張って行ってください!お話ありがとうございました!
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