「体育会系の就活」と聞くと、部活で時間がない、周りの友達を見て焦る、などマイナスイメージを持っている人も多いのでないでしょうか。ですが、週5で部活動、朝夕の2部練で陸上競技に専念した筑波大学体育専門学群4年の岩本怜士さんは、商社マンに求められるというある方法で企業分析し、内定に漕ぎ着けました。総合商社に内定するための秘訣と、体育会学生の就活の戦い方を余すところなくお伝えします!
プライドは捨てて取り組んだ陸上と就活
伊藤
部活で忙しいのにありがとうございます!
岩本
部活は先日無事に引退しました。
伊藤
お疲れ様でした。陸上部インカレも大活躍でしたね。大学生活は相当忙しかったんですか?
岩本
週5回で1日3時間、陸上競技部で短距離をやっていました。冬季は朝と午後の2部練。その他にも、選手兼マネージャーだったので、部員250人の試合のエントリーから雑務まで・・・
伊藤
本当に部活動は大変ですよね。
岩本
大学4年の春からは就活支援団体Take@wayの代表を務めてイベント企画、面談をしていたので、ずっと動いていましたね。
伊藤
そんなに忙しくて、就活と両立できたんでしょうか。
岩本
1日に説明会やOBOG訪問を5つ入れたり、朝練はみんなより早い時間にやって就活に行ったりしていました。就活のせいで部活ができないという言い訳はしないようにしていました。

挫折から返り咲いた陸上人生
伊藤
部活も就活も全力で取り組めるモチベーションは何ですか?
岩本
高校時代は県大会100m走で7位、4×100mリレーで7位、4×400mリレーも8位で南九州大会に進めず終わってしまって。泣きまくって落ち込んで自分の人生のどん底を味わいました。

絶望を味わった最後の大会
伊藤
ブロック大会は地方6位まで行けるところ7位って悔しすぎますね・・・
岩本
大学に入った時は周りにインターハイ上位入賞者ばかりだったんですけど、絶対勝ってやる、県の人を見返してやるというハングリー精神がモチベーションになっていました。

作成:岩本怜士
伊藤
この資料すごいですね。全国ランキングで395人抜きしたんですか?
岩本
はい。3年の5月にベストが出て人生の絶頂期でした。目標だった関東インカレも出られましたが、1ヶ月後に前十字靭帯を断裂して、またどん底に落ちました。
伊藤
前十字靭帯は絶望ですよね・・・
岩本
半年リハビリして、セカンドベストまでは戻せました。最大限できたので後悔はありません。
伊藤
それはすごい・・・。この怪我のエピソードって就活でも話せそうですよね。
怪我の話を就活でしなかったわけ
岩本
この話は実はしてないです。
伊藤
え!どうしてでしょう。
岩本
弱小チームで怪我を1ヶ月で乗り越えたのと、プロ野球選手で2年半の怪我を乗り越えたっていうのは、文章で表すと差別化がしにくいってOBの方に言われて。
伊藤
確かに、どれだけの重みがあるか区別できないですよね。
岩本
困難を乗り越えたエピソードは、部活でのチームマネジメントについて書いていました。
伊藤
チームマネジメントとは具体的に?
岩本
練習メニューを決めるミーティングで、他のメンバー1人と熱くなり過ぎてずっと言い合ってしまい、話が進まないからってミーティングへの参加を禁止されたことがありました(笑)

共に4年間頑張ってきた仲間との一枚
伊藤
そんなことが!
岩本
人を引っ張る時には聞く力がすごく大事だって、痛い思いをして学んだんです。意見の衝突がありつつもメニューを作って、チームをどうまとめるか学べたのは大きかったですね。
伊藤
就活ではその辺りも話したんですね。
岩本
自分の短所が”物事に熱くなりすぎるところ”で、そのエピソードとして話したら爆笑されたことはありました(笑)。でも、結果的に、相手の話をよく聞くという姿勢が身についていたことは就活で役立ちました。
関東インカレ男子100mに出場した際の写真
100人以上と出会った就活
伊藤
普段のミーティングが就活にも生きたんですね。そもそも就活はいつ始めたんですか?
岩本
就活を本格的に始めたのは3年の10月です。最初は軸はあまり作らず、なんとなく漠然と。
伊藤
就活イベントなどで、双日の方と話す機会はあったんですか?
岩本
はい。「自分はこういう力があって、将来会社をつくったり、成長したいです」という話をしたんですけど。
商社との出会いは逆求人
伊藤
自分ができること、したいことをアピールするんですね。
岩本
はい。でも。”君の能力、バックグラウンドもよく分かった。だけどそこに君の意思はない。具体的に何がしたいの?”って一蹴されて。

自分の個性を出すためユニフォームとスーツで臨んだ逆求人
伊藤
おおお・・・
岩本
すごく落ち込んだんですけど、帰り際に、”頑張れよ!”って喝を入れてもらえて。たった30分の面談で、あれだけ本気で向き合ってくれる熱い人が商社にはいるんだって。
伊藤
1人の学生にそこまで熱くなってくれる企業あんまりないですよね!
岩本
それで心が動いて、商社を受け始めました。
伊藤
商社を受けるきっかけになったんですね。その後はどう就活を進めたんでしょうか。
岩本
3年の冬は1dayのインターンに行っていました。
伊藤
1dayのインターンに多く行ってたんですね。
岩本
はい。部活で時間もなくて。1dayのために北海道まで行ったこともありました。
商社マンに求められる資質
伊藤
そこまで行ったんですか?
岩本
自分は足を動かそうって思ってたので。”商社マンは1次情報が命。1次情報を大事にしろ”ってよく言われました。
伊藤
1次情報?
岩本
あの人がこう言ってたよっていうのは2次情報。そうではなく、現場に行って自分で会って聞いて、そこで感じたことが一番大事ということです。
伊藤
じゃあ結構社員の方にも会ったんですか?
岩本
社会人の方には100人以上会いました。OB 訪問した中で商社の方は25人ぐらいです。
伊藤
100人!そんなに会ってたんですね・・・!
岩本
そう。そこで感じたことはこのノートにメモしていました。

人と合う中で深めた業界研究と自己分析
伊藤
商社ノート?見せてください!
岩本
OB 訪問やセミナーで聞いたこと、感じたことを言語化して書いていました。
伊藤
業界分析とかもこれでやってたんですか?
岩本
はい。合同説明会は浅く話を聞くだけなので好きではなくて。社会人から直接話を聞いて、自分が感じたことを書き留めていました。業界研究も、四季報は見ていなかったですし、リクナビマイナビも使いませんでした。
伊藤
社会人の方と会うと、同時に自己分析も出来そうですよね。
岩本
そうですね。自分はこう考えているということをぶつけて、相手の方に分析して貰ったり、教えを乞うということをしていました。遠回りに思えるけれど、人と会って話すのが一番自分の考えを深められると思います。

伊藤
商社で働いている社会人の方に会ってみてどうでしたか?
岩本
謙虚さの中にも、自分の仕事について胸を張って話をしてくれました。そこで自分も商社に合っていると感じました。
伊藤
具体的にどんな志望動機で商社を受けていたんでしょうか。
商社を志望した3つの動機
岩本
自分が話していたのは3つです。情熱と達成感と高揚感。
伊藤
それぞれ詳しく聞かせてください。
岩本
情熱については、自分は本当に熱い人間だということを伝えていました。商社の人は仕事に情熱を持っている人が多いので、自分も情熱を持って仕事ができる商社を志望しているという話をしました。
伊藤
達成感とはなんでしょう?
岩本
目標に向けてチームで頑張ることが好きということです。商社では1つのプロジェクトを大勢の人を巻き込んで成功させるという点が合っていると思いました。
伊藤
チームマネジメントの経験が生きたんですね。高揚感というのは?
岩本
自分が1番ワクワクする瞬間は、何でもできる環境があることです。商社はラーメンからミサイルまで何でも扱う環境がありますよね。

作成:岩本怜士
伊藤
陸上以外にも何かやっていたんですか?
岩本
チャンバラ、水泳、トライアスロン、ソフトボール、バレーボール、アイスホッケー、バスケ、習字など、色々やっていました。
伊藤
陸上だけかと思っていました。好奇心旺盛ですね!
過去の体験が将来の夢に繋がった
伊藤
志望動機の他に、商社で取り組みたいことはあるんですか?
岩本
面接で、将来ヘルスケアに携わりたいと話していました。
伊藤
どうしてヘルスケアなんでしょうか。
岩本
親が介護施設の事務で、昔は病院の事務で働いていました。さらに姉は看護学生なんです。病院とか福祉に関わる機会がよくありましたし、自分も体育専門学群で健康を学んでいるので。
伊藤
ヘルスケアや医療系に関係が深かったんですね。
岩本
もっと言うと、小6の時に事故で父親を亡くしていて、誰よりも人の生死に関わりたいという思いが強い。その話を面接でしたら本当に納得されて。
伊藤
共感が納得に繋がったんですかね。
岩本
ありがとうございます。面接では共感と説得力が一番大切だと思っています。
就活で貴重な財産をつくろう
伊藤
では最後に、後輩にアドバイスをいただいても良いですか。
岩本
足を動かせ!もうそれしかないと思います。

商社ノートと岩本さん
伊藤
足を動かすですか!
岩本
足を動かしたら選択肢も広がるし、行くための理由も厚くなるし、人脈ができるから。
伊藤
実際に行くと志望理由にも説得力出ますよね。人脈は本当に必要ですよね。
岩本
はい。就活は内定がゴールではなくて、人生の糧になる経験と思って色々な人に会って話を聞いて、本を読んで研究をして考え抜いて、とにかく足と頭を動かした方が良いと思います。

就活について本気で語り合える仲間(就活支援団体Take@wayメンバー)との一枚
伊藤
就活を人生の糧にするんですね。熱いお話ありがとうございました!!
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