4年間部活動に打ち込んではきたが、それ以外に専門的なスキルがない自分が就活で戦えるか不安。そんな思いを抱えた体育会系の就活生も多いと思います。しかし4年間を馬術部で過ごした早稲田大学スポーツ科学部4年の河野さんは、3月からの就活でADK、サイバーエージェントを始め複数社に内定しました。生粋の体育会系の就活の戦い方を全てお伝えします!
馬術に捧げた4年間
伊藤
河野さんは早稲田大学のスポーツ科学部ですよね。何部に入っているんですか?
河野
馬術部ですね。大学4年間は部活しかしてなかったです。
伊藤
馬術ですか!珍しいですね。
河野
よく言われます。面接でも、馬術ってだけで食いついてもらえたり。ほんと馬は好きですね(笑)
【河野貴大】早稲田大学スポーツ科学部4年。株式会社アサツー ディ・ケイ内定。
伊藤
部活一筋だったのに、ADKやサイバーエージェント、その他大手に複数内定されたんですよね。まずは部活動の話を伺おうと思います。
スポーツ推薦を蹴って早稲田に自力で入学
伊藤
馬術に出会ったのはいつなんですか?
河野
高校生1年生の時ですね。東京農業大学の付属の高校だったから、馬術部があって。中学まではサッカー部だったんです。
伊藤
全然違いますね!なんで馬術部に?珍しいですよね。
河野
あとで詳しく話しますが、面白そうだなと思って。自分で走るの疲れたし(笑)そしたら馬術も意外としんどかったですね。乗ってるだけに見えても、手綱引っ張ったり、足で挟んだり、馬に伝わるよう色々やってます。
伊藤
乗ってるだけじゃないんですね。なぜ早稲田に入ったんですか?
競技中の河野さん
河野
青学、立教から推薦も貰ってたんですけど、自主性を重んじていて施設も充実している早稲田に行きたくて自力で勉強しましたね。
自分じゃなく馬中心の毎日
伊藤
すごい、一般で入学したんですね。大学ではどのくらい練習があったんでしょうか。
河野
基本週6日ですね。朝5時に起きて7時から練習で、授業始まるまで練習して。月曜だけ馬の休みです。
伊藤
馬の休みなんですね、自分たちじゃなくて(笑)
河野
馬ですね、人は餌あげに行くんで。試合も週に1回はあって、自分たちで馬をトラックで運んで、山梨、静岡、茨城、兵庫とかも行ったりしてました。
伊藤
かなり忙しかったんですね。
河野
馬の体調が一番だからコンディションも気をつけないといけないし、馬がいるから1週間休みをとって旅行に行くとかはできなくて。部活以外にはバイトと飲み会ぐらいしかできませんでしたね。
3月から就活スタート、すぐ広告に決めたワケ
伊藤
やっぱり体育会系は忙しいですよね。そんな中で就活はできたんでしょうか?
河野
あまり。インターンも行けず、本当に遅いですけど3月から就活をはじめました。
伊藤
4年生になる直前ですよね。結構遅めだったんですね。
河野
そうですね。最初はまず広告の説明会と、飲み物飲むの好きだからサントリーとかメーカー系の説明会とあとは商社の説明会に行きました。
伊藤
THE体育会系っぽいですね、見たところが。
河野
ミーハーでしたね当時は。それで10社ぐらい超大手の説明会に行きました。時間もなくて、省エネでやってました。
馬に乗りたい、と決心させてくれたCM
伊藤
大手中心に受けても、人気の広告業界に内定できたということは、相当強い志望動機があったんでしょうか・
河野
実は自分が馬に乗ってみたいと思ったきっかけが広告だったんです。なので思い入れは最初からありましたね。このエピソードは志望動機でも強めに話しました。
伊藤
そのエピソードを詳しく聞いてみたいです!
河野
中3の時、競馬のCMがやっていて。すごいかっこよくて、これを見て自分は馬に乗りたいと思いました。
競馬のCM(イメージ)
河野
今こそ腰の怪我で馬にあまり乗れなくなったけど、「今度は自分が、人が好きなものに出会えるきっかけを作りたいです」ってことを志望動機で言ってましたね。
伊藤
今は怪我であまり乗れないけど、他の人が好きなものに出会うための架け橋になりたいと考えたんですね。
河野
そんな感じです。色々やってみたいタイプだから、いろんなメディアに関われるのも面白そうだし、自分が作ったもので人が動いてるのを感じられたら楽しいかなとも思いました。でも一番はやっぱり人が好きなものに出会うための手助け、架け橋をつくりたいとは思ってますね。
伊藤
それで広告を選んだんですね。
人の心を動かした部長経験
伊藤
人の心を動かしたいっていう志望動機だと、「じゃあそういう経験あったの?」って聞かれませんか?
河野
それは自分が怪我で馬に乗れなくなったから今度は人に楽しみ届けたいって話と、部活で部長をやって人のモチベーションを動かした話をしてましたね。
伊藤
部長も経験したんですね!どの様に部員をモチベートしていたんでしょうか。
河野
30人部員がいたので、一人一人コミュニケーションを取って、どういう馬が合うのか考えてましたね。
部員との一枚
伊藤
一人一人に相性の良い馬を選ぶのも部長の仕事だったんですね。
河野
そうそう。あとは部員の悩みや不満を聞いて解決策をミーティングで考えたり。必要を感じた時はすぐ集まって話し合うようにしてましたね。
伊藤
部員一人一人にしっかり寄り添っていたんですね。部活動の経験があったからこそ、人気の広告業界から複数内定をもらえたんでしょうか。
河野
部活動一筋で突き詰めてやっていたので、一般の子に負けるわけないって思ってましたね。自分に自信があったのかもしれないです。あとは「馬好きっす」ってアピールしてました(笑)
伊藤
部活動に打ち込んだ経験は自信になったんですね。実際の面接ではどの様に部活動経験をアピールしたんでしょうか。
部活動経験はストーリーでアピール
河野
「毎朝早くから練習して、本当に馬に大学生活を全部捧げていました。でも腰怪我してもう馬術は続けられません。なのでこのエネルギーを、御社に入社してこの事業部でぶつけたいです」って流れで言っていましたね。
伊藤
ストーリーがありますね。4年間馬術に捧げたエネルギーを仕事でも活かすということですね。
河野
部活漬けだったけど怪我して悔しくてどん底味わって、でも社会人では気合入れますみたいな、一回落として上げるのは強調したかもしれないです。
競技中の河野さん
伊藤
今まで人生かけてきた事がもう出来なくなる苦しさを味わうことって、そうそうないですもんね。
河野
ですよね。部活動経験は仕事に直結しないけど、人事はエピソードの中身より、どんな思いでやってたかとか、入社して頑張れそうかみたいなところを見るじゃないですか。
伊藤
思いやこれからの伸びしろは十分アピールできますよね。
4年間部活に打ち込んだ経験が自信に
河野
1つのことを突き詰めてきた経験、頑張れる力とかエネルギーは評価していただけました。部活で身に付いた自信も、仕事に関係するのかなと思います。
伊藤
確かにそうですね。長期インターンで実績のある学生と対等に渡り合わなきゃいけないっていう不安はなかったんですか?
河野
自分の考えですが、大学4年生が持ってる実績なんて、社会人から見たら3才児と5才児みたいな、あんまり大差ないかなと思っていて。
伊藤
どれだけ自分で考えて動いて、努力してきたかが重要ですよね。
河野
ですね。ドヤ顔で面接してました(笑)「採らなくて大丈夫ですか?」くらい。
伊藤
すごいメンタルですね(笑)たまにスポーツしかして来なかったって卑屈になる学生もいるらしいんですけど…
河野
スポーツしかしていないことってマイナスではなくて、1つのことをみんなが遊んでる中、4年間努力できるのは素敵だと思います。就活あるから競技が疎かになるのは勿体無いし、一途に競技をやったからこそ評価してもらえることもあったので。
面接の仕方は企業のカラーによって変える
伊藤
部活の経験は十分評価されるんですね。部活動の経験の見せ方や面接の仕方は、企業によって変えていましたか?
河野
変えていましたね。人によると思いますけど、サイバーエージェントの一次面接で、練習しないほうが自分出ていいかもって感じたので、そのあとは練習なしでやったりしていました。
伊藤
面接の雰囲気で対策の仕方を少しずつ変えていたんですね。
河野
堅い雰囲気の会社では真面目にやってました。内定先では、練習してキャラを作ってTHE就活生みたいな感じよりは、やってきたことを自信をもって素直に言ったほうが良いかなと思いました。
伊藤
自信がやっぱり大切なんですね。
河野
自分の人生馬術で変わりました、自分も人の人生変えたいですみたいな、そのぐらいどーんとやってました(笑)
伊藤
すごい堂々としてたんですね(笑)。最終的に、ADKに決めた理由はなんだったんでしょうか。
‘‘業界3位’’に惹かれた
河野
ADKが電通、博報堂に続いて業界3位ってところも魅力でした。馬術でも早稲田は日大、明治の次で3番手あたりで。2番、3番から順位をひっくり返すことが楽しいですってことは言ってましたね。
伊藤
逆境を楽しめるタイプなんですね。
河野
コンテンツも持ってるし、何が何でも色々やって成長していこうっていう雰囲気が好きでしたね。
伊藤
1位、2位を抜いて成長したいという雰囲気があったんですね。
河野
あとは、マス向けの広告をしたかったっていうのもあって。ADKも新聞から折込チラシから色々やっているのも面白いと思いました。あと実は昨年、上場企業ではなくなって自由度が増したことで、ADKがやりやすい様にできる環境が整ったらしくて。
伊藤
ADKの上場廃止は今年の2月に話題になりましたよね。
河野
上場を廃止して、消費者を動かす3つの力っていう指標を元に頑張っていて。これから成長していく雰囲気の中で、若手も裁量権を持って働けるのがいいなと思いました。
伊藤
大企業ではあるけれど、常に変化し続けている会社の雰囲気に惹かれたんですね。
自分を馬術に導いたCM制作に携わりたい
伊藤
今後は体育会を離れ社会に出ますが、何かしたいことはありますか?
河野
強いて言えば競馬のCMには携わりたいなって思います。今は電通、博報堂がやってますけど、ADKでやれたらすごいなって。
伊藤
夢がありますねそれは!
河野
やりがいはありますよね。自分ところに無いものを勝ち取って、それが形になって世の中に出ていくのは楽しいかなって思ってます。
伊藤
社会に出てからも勝ち続けられるよう頑張ってください!本日はありがとうございました!
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