就活で必須となる自己分析、そのひとつとして自分史を書くことは非常に重要です。
自分史の書き方は決まった方法があるわけでもなく、多くの人はまず自分の過去を振り返ることから始めるのではないでしょうか。しかし、やみくもに思いつくまま過去の出来事を振り返っても、簡単には自分史と呼べるものができるわけではありません。
ここでは、自分史を書く手順と自分史を書く上で助けとなるツールなどをご紹介します。
自分史の書き方は人生を逆行して考える
自分史の出発点は現在の自分です。歴史を学ぶ際には過去から現代へという流れで学んできたことと思いますが、自分史においては現代を出発点にして過去へ戻る流れで作成していきます。
この作業は、「なぜ」今の自分があるのか、という問いの繰り返しにほかなりません。
では、現在の自分から順を追って自分の歴史を振り返っていきましょう。
1自分史の書き方(大学生活):自分史の出発点
自分史を書くに当たって、まずは今現在の自分のあり方を振り返ってみましょう。
自分は一体どのような性格の持ち主でしょうか。なにを得意としていますか。逆に苦手とすることはなんでしょうか。自分の強みや弱みなど、自分を誰かに説明するときにふさわしい言葉を考えてみましょう。しかし、この段階ですんなりと自分のことを説明できる人は、きっと少ないことでしょう。
その場合には、「実際に自分のとってきた行動」に注目してみましょう。たとえば、「自分は○○学校に通学している」や「一人暮らしをせずに毎朝、○分かけて大学へ通っている」ということでも構いません。
そこであらためて「なぜ」と問うことで、自分を振り返るきっかけができます。「なぜ、この大学に進学したのか」「なぜ一人暮らしをしていないのか」などの問に答えれば、仮初めだとしても自分を表す言葉が見つかります。
あとは、その言葉が真なのか、真であるならば「なぜ」そのような性格になったのかを追求していくことになります。この段階では、まだ自分の言葉に自信が持てないかもしれません。しかし、それは当然です。それを自分史という形で人生を振り返って、裏付けしていくことが自己分析にほかなりません。
現在の自分は、過去の自分の延長です。現在の自分がとった行動の理由の多くは過去の自分の影響が色濃く残っているものだからです。
2自分史の書き方(高校時代):はじめての自己決定を振り返る
自分史を書くに当たって、次は高校時代の自分を振り返ってみましょう。
高校時代は、まだ大人とは言えない年齢ですが、それでもある程度の自己決定が許された時代です。もしかすると、自分で自分の人生、つまり進路についてはじめて真剣に考えたという人もいるかもしれません。その自己決定の理由を思い出しましょう。
たとえば、現在、経済学部へ進学している人は純粋に経済について興味があったのかもしれませんし、あるいは就活の際に企業選択の幅が広がることを期待して経済学部への進学を決めたのかもしれません。自分を飾ることなく、正直に自分で進路を決定した理由を振り返りましょう。
上記の例のように、経済に興味があったのならば、探究心が強いといえますし、就活を意識したのであれば先々まで見越した慎重な性格と言えます。
3自分史の書き方(中学校時代):自分の感情に注目する
自分史を書くに当たって、中学校時代の自分を振り返ることも大切です。
中学校時代は、まだ社会のこともわからず狭い世界で生きていたと言わざるを得ないでしょう。しかし、それだけに自分の感情に素直な状態で生活できていたはずです。 中学校時代は、強く感情を動かされた経験に注目して人生を振り返ってみましょう。
特別な行事に限らず、日常生活をどのように感じて過ごしていたのかも自分史の書き方のヒントになります。また、中学校のカリキュラムでは、職業体験や実際の職場体験などの体験授業もあったはずです。それらの体験で感じた単純な「嬉しい」「凄い」という感情について記述しておきましょう。
4自分史の書き方(小学校時代):自分の原点を見つける
自分史を書くに当たって、最後は小学校時代を振り返りましょう。
小学校時代は、さらに自分の原点となる体験をしているはずです。低学年と高学年では精神状態も直面する現実も異なってきますが、そこでは自分がはじめて出会う物事に対して自分の本質的な性格で反応していたことが思い出せるのではないでしょうか。
果敢に立ち向かっていったのか、あるいは慎重に準備してから物事に向き合ったのか、友人たちと協力して対処していったのか、様々なケースが考えられますが、この原体験がもととなり、その後の自分の人生の決定に影響を与えていることが分かるでしょう。
5自分史の書き方:第三者の意見や自己分析ツールを活用する
ここまで自分史の大まかな作り方についてご紹介してきました。
しかし、実際のところ、自分の記憶だけでは曖昧で、小学校時代ともなると確かな記憶がほとんどないという人もいるでしょう。事実、自分の記憶だけに頼った自分史の書き方は非常に難しいです。
そのようなときには、第三者の記憶に頼る必要があります。家族や昔ながらの友人はもちろん、様々な人があなたという人間を評価してくれています。例えば、以下の記事でご紹介しているような人に、自分に対するイメージを問うのも良いでしょう。
そのほかにも、以下でご紹介する自己分析のためのツールを利用して人生の振り返ることも有効な手段でしょう。
自分史の書き方に役立つツール3選
ここからは、自分史を書くために役立つツールや考え方をご紹介します。
1ジョハリの窓
ジョハリの窓は、正方形を十字型に切って分けた4つの枠からなるマトリックスです。
その枠はそれぞれ
- 自分も他人も知っている自分
- 自分は知っているが他人は知らない自分
- 他人は知っているが自分は知らない自分
- 自分も他人も知らない自分
の4つを表します。
自分で思う自分の特徴を思いつく限り列挙した後に、家族や友人に自分の特徴を教えてもらうことでマトリックスを埋めることができます。
このジョハリの窓を使うことで、自分の知らなかった一面や、他者や自分の抱く自己イメージのズレを認識することができ、より客観的な自己分析ができるようになります。
2via-is診断
via-is診断は、ポジティブ心理学で著名なセリグマン博士が開発した、アンケートに答えていくことで自分の強みを発見できる診断ツールで、ストレングス・ファインダーとも呼ばれます。
via-is診断では強みが「寛容さ」「大局観」「自己調整」などの24種類に分類され、そのうち上位の5つが自分の強みとされます。統計的に信頼性のある診断ツールですから、上記のジョハリの窓と合わせて使うことで、より客観的な自己分析の助けになります。
3ビッグ5
ビッグ5も自己分析に非常に有効な診断ツールです。
ビッグ5は性格を
- 開放性
- 真面目さ
- 外向性
- 協調性
- 精神安定性
の5つに分類してスコアリングするツールです。ジョハリの窓、via-is診断と合わせて自己分析することで、より客観的な自己分析ができるようになります。
そして、これらの自己分析の結果と、大学生~小学校時代までの経験を照らし合わせることで、「なぜ」自分がそのような行動をとってきたのかという理由を、明確な言葉で説明しやすくなるはずです。自分のことは自分で良く分かっているという人でも、なかなか自分の強みを言語化出来ない場合、多くは強みや性格を表現するボキャブラリーが足りていないのが原因です。
そのような人は、多くの診断ツールを使うことで、自己を表現するボキャブラリーを身につけることで、驚くほど簡単に自己分析ができるようになります。
自分史は「散らかしてから、片付ける」書き方をする
自分史は、はじめから完璧なものを書き上げようとしてもうまくいきません。まずは不完全でも良いので、出来る限り多くのエピソードを盛り込んだ自分史を作ってしまいましょう。
大学生~小学校時代までの様々なエピソードと、それを説明する診断ツールの言葉を準備すると、とても多くの文章が出来上がると思います。できれば、①それぞれのエピソードをひとつのカードにして、目の前に並べてみましょう。
その次に、②その中で似たエピソードと思われるものをまとめていき、それぞれにキーワードを決めます。たとえば「小学校時代は無遅刻無欠席だった」「大学生ではキレイにとった授業ノートを友人に貸すことが多かった」などのエピソードが「真面目さ」というキーワードで括れるかもしれません。あるいは、「中学生時代は吹奏楽部に所属していた」「高校生では陸上部に所属した」というエピソードを「変化」というキーワードで括れることもあるでしょう。
そうやって、抽出したキーワードの中から就活でアピールしたいものを選んで、それに関連するエピソードだけを自分史に残しましょう。
自分史の書き方は「なぜ」の繰り返し まとめ
自分史とは、現在の自分が「なぜ」このような形になったのかを首尾一貫した歴史で紹介するものです。
自分史の書き方は、現在からさかのぼる形で始め
エピソード列挙(発散)→カテゴライズ・キーワード抽出→PRポイントを中心に編集(収束)
という手順で行います。
自分で納得できる自分史ができたならば、面接官にどのような質問をされたとしても、なぜ自分がそのような考えにいたったのかを添えて明確な返答ができるようになるでしょう。
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