「不動産の業界研究って難しくてよく分からない」このように感じている就活生は少なくありません。確かに不動産と言えば身近にある存在でありながら、敷居が高い業界。業界研究もなかなかどの切り口で入っていけばいいのかが分かりにくいというのが事実です。
そこで今回は不動産の業界研究が難しい理由から、不動産の代表企業の位置付け、不動産業界の特徴などについて詳しく解説をしていきます。この記事を読めば不動産の業界研究をスムーズに行うことができるようになりますよ。
確かに不動産の業界研究は難しい
第一に押さえておきたいポイントとしては不動産の業界研究は就活生にとって難しいということです。その理由としては不動産が扱っているもののイメージがつきずらいからということが挙げられます。
不動産が扱っているものといえば「建物」というイメージがあるかもしれませんが、少し考えただけでも建物にはたくさんの種類があります。ビルやアパート、マンション、百貨店などの商業施設からリゾートホテル・リゾート施設など。これらの多岐にわたる「建物」を扱う不動産の業界を的確に捉えることは難しいと言えます。
しかも実は不動産の仕事は先ほど紹介したような多岐に渡る建物の管理だけではありません。大まかに分けて不動産の仕事には、
- 不動産で扱っている建物を管理・運営する「不動産管理」
- 建物の開発を手がける「デベロッパー」
- 建物を売買したり、賃貸をする「不動産仲介」
- 建物の建設や注文を執り行う「ハウスメーカー」
など仕事内容は多岐にわたり、もちろん不動産業界の中で企業を一括りすることはできないのです。
これまで読者の方の中には「不動産と言えば物件を貸す役割の業者」といったイメージがあったかもしれません。しかし上記でも紹介したように、建物を建設する役割・建物を売買する役割・建物を貸す役割・建物を管理する役割など様々に分岐しているということが分かります。
これら物件を取り巻くほとんどの仕事を担っているのが不動産、そして不動産をとりまく仕事を行なっている企業群が不動産業界であるという認識を持ちましょう。
不動産業界の研究のためには不動産企業の位置付けを正確に理解する
不動産業界の研究のためには不動産企業の位置付けを正確に理解することが非常に大切です。
ちなみに不動産業界の傾向としては、現在成長傾向にあると言われています。不動産業界の規模で言えば12兆円を超えており、日本経済が上昇傾向にあると同時に不動産業界の物件売買などが好調となり、業界は上向きです。
そんな不動産業界の研究をする中で欠かせないのが「不動産企業の位置付け」を理解するということです。先ほども述べた通り、不動産業界の中には多岐に渡る仕事があり、1つ1つの仕事に専門性を持って活躍する企業があります。つまり企業の位置付けを理解することは不動産業界の中でも特に活発な分野を知るということに他なりません。以下に不動産業界でトップクラスの企業を見ていきましょう。
不動産企業の位置付け
現在、不動産企業で特に目立っているのは以下の3社です。
- 飯田グループホールディングス
- 三井不動産
- 三菱地所
特に不動産業界の中でもトップクラスの大企業は「三井不動産」です。三井不動産と言えば有名なのは「東京ディズニーリゾート」の開発であったり、東京・霞ヶ関の「霞ヶ関ビルディング」のデビロッパーとしてでしょう。また、「三菱地所」は近年メディア露出も増えて、業界外での認知度もかなり高まってきている企業です。都市再生計画や高層ビルディングの建設などに関わっており、他にもアウトレットモールのデビロッパーとしても有名です。
不動産業界の研究は主に3つの分野
さて不動産業界についてここまで「なぜ不動産業界の研究が難しいのか」ということや「不動産企業の位置付け」などについて見ていきました。ここから本格的に不動産業界の研究に必要な知識を解説していきましょう。
不動産業界の研究をする際には基本的に不動産業界内の3つの分野「不動産開発」「不動産流通」「不動産管理」について理解をすることで、不動産業界の研究を進めやすくなります。
こちらでは不動産業界内の3つの分野「不動産開発」「不動産流通」「不動産管理」について詳しく解説をしていきます。
不動産開発
不動産開発とは、ビルや商業施設、マンション、リゾート施設など建物を建設する役割の仕事です。もちろん「建物を建設する役割」といっても建築士などのような仕事をするわけではありません。不動産開発とはどんな場所に、どんなコンセプトでそんな建物を建てるのかについて提案をする仕事なのです。開発をする際に、土地があるからといって無造作に建物をどんどん建てていくというわけではありません。建物を購入する個人や企業が、その建物のことを魅力的に感じるようにしっかりとコンセプトを練った上で不動産建設は企画されているのです。
まず不動産開発の仕事は、建物を建てるための土地を検討するところからスタートしていきます。その上で、建設を想定している土地にどのような建物が適しているのか、どのようなコンセプトの建物であればマッチするのかなどを情報収集していき、企画を行います。その後、企画が固まった段階で土地所有者に対して土地使用のお願いをして、その提案が通れば実際に建物を設計することになります。
上記で不動産業界の研究について説明をする際に「デベロッパー」という名称で呼んでいたのが不動産開発のことです。また不動産開発を行なっている企業のほとんどが建設された建物の利用料や建設した建物の販売によって利益を得ています。
不動産流通
不動産流通は不動産が市場に流通することに関わる仕事をする役割を担っています。不動産を市場に流通させて、その不動産所有者と不動産を購入したいお客様を結びつける仕事をしています。
また不動産流通の仕事をさらに細かく分けると不動産仲介という仕事と不動産売買代理事業という仕事に分けることができます。以下では不動産仲介と不動産売買代理事業の仕事を分けて見ていきましょう。
不動産仲介
不動産仲介は、不動産所有者と不動産を買いたいと考えている顧客を結びつける役割の仕事をしています。不動産はただそこにあるだけでは顧客に購入してもらうことはできません。また不動産所有者が自ら顧客に不動産を販売するということも難しいことです。
不動産仲介が「自分が所有している不動産を誰かに貸したり売ったりしたい」という不動産所有者と、「誰かから不動産を借りたり買ったりしたい」という顧客の両者を仲介することで、その仲介手数料から収益をあげています。
またこの不動産仲介のもとには不動産所有者の情報が大量に集まるため、「土地を買いたい、有効活用したい」と考えている不動産開発に対して不動産所有者の情報を提供する役割もあります。
不動産売買代理事業
不動産売買代理事業は、不動産所有者の不動産販売を完全に委任されて、不動産を購入したいと考える顧客に対してその不動産の販売に繋げるために販売促進活動を行なったり、実際に販売をしたりといった役割の仕事です。
上記で紹介した「不動産仲介」では不動産の所有者が不動産を販売したり貸したりする際に手数料がかかり、同時に不動産を買いたい顧客が不動産を購入したり借りたりする際にも手数料がかかります。
一方で不動産売買代理事業では不動産所有者への手数料しかかかりません。それは不動産売買代理事業として売買を完全に委託されているために、買い手の方には手数料抜きの不動産の料金しか発生がしないからです。
不動産仲介か不動産売買代理か
不動産仲介と不動産売買代理のどちらがいいのかということは一概には言えません。不動産仲介として不動産所有者と不動産を買いたいと考えている顧客の間に入りたいのか、不動産売買を完全に委託された状況で自らの手で販売を進めていきたいのか。自身が関わりたい不動産業界の役割によって変わってくるでしょう。
不動産管理
不動産管理は、その名の通り不動産の設備を管理したり、テナントに入店するお店を募ったり、不動産の賃貸料を回収したり、不動産回りのトラブルに対応をしたりなど、不動産にまつわる管理サービスを一挙に引き受ける役割の仕事です。
不動産管理は上記のような仕事を行なって建物を管理する中で、全ての不動産がうまく活用されることを目指します。また不動産会社が保有している民間の建物の管理だけではなく、公共的な建物を管理する場合もあります。
なお、不動産業界の詳しい仕事内容や必要なスキル、資格については以下の記事でベット詳しくご紹介しています。こちらも併せて業界研究の参考にしてみてください。
不動産業界の特徴の研究
それではこちらでは不動産業界の特徴について詳しく見ていきましょう。
経済状況と連動している
1つ目の不動産業界の特徴は「経済状況と連動している」ということです。
不動産業界は最初の方で成長傾向にある業界であるということを述べました。一方で、不動産の売買活動が大きく不動産業界の状況に関わるために、日本の経済状況と大きく連動しているということが言えます。不動産という大きな買い物をする中で不況ではなかなか売れないということが実際問題あります。一方で経済状況が上向きであればかなり不動産売買が活発になっていきます。
例えば、金融危機が起こった2012年。経済が下落傾向になったと同時に不動産の売買活動が停滞し、不動産価格も下落していきました。
また、国外の経済状況とも大きく関わりがあるのが不動産業界です。外国が日本にある不動産を購入する投資事業を行なっているため、為替変動が大きく不動産業界内の経済を左右します。
人々に必要不可欠な住居に関わる仕事のためやりがいがある
2つ目の不動産業界の特徴は「人々に必要不可欠な住居に関わる仕事のためやりがいがある」ということです。
不動産売買というと無機質な響きになってしまいがちですが、もっとミクロに不動産の仕事を見れば「マイホームを購入する」「結婚してマンションを購入する」などといったように人々の人生の節目に立ち会うことができる仕事でもあるということです。
そのような人生の節目に関わるビジネスを行うことは責任が伴うことでもありますが、ビジネスに対して強い情熱を感じながら働くことができるため、不動産業界のやりがいはとても大きいのです。
また他にもデビロッパーとしての仕事は、大規模な開発にも関わってくるため自分が街の一角を開発することに関わることができるといったような「大きな仕事」をしたい人にとってはとてもやりがいを感じられる仕事です。
働き方が極端
3つ目の不動産業界の特徴は「多忙な時期が集中している」ということです。
不動産業界は基本的に土日出勤であることが多い業界です。なぜなら不動産の購入を考えている多くの顧客や不動産を売りたいと考えている不動産所有者の多くが平日に仕事をしており、土日などの休日に不動産企業を利用することが多いからです。
また不動産業界全体を見た際に2月から3月は非常に忙しく、一方でその他の時期にはゆとりがあるという特徴もあると言います。1年中、同じペースで働くということは不動産業界では難しいのかもしれません。
不動産業界の将来性は今後変化の一途にある
4つ目の不動産業界の特徴は「不動産業界の将来性は今後変化の一途にある」ということです。
不動産が売れるか売れないかは先ほど述べた経済状況も含めて本当に多くの要因があります。しかし不動産を使用するのが「人」である以上、人がどのように生活をするのか、人口がどれくらいなのかなどが不動産業界の将来を握っていると言っても過言ではありません。
以下に不動産業界の将来性について3点解説をしていきます。
①現代人の「住み方」が不動産のあり方を決める
1つ目の不動産業界の将来性に関わることは「現代人の「住み方」が不動産のあり方を決める」ということです。
核家族化が進んで久しいですが、それによって購入される不動産が大家族用の一軒家から核家族用のコンパクトなマンションや一軒家に移り変わっていきました。時代とともに人々の住み方は大きく変わっていくため、不動産に対する人々のニーズも変わっていきます。人々の不動産に対するニーズにアンテナを張りながら、そのニーズに応える不動産を提案していかなければなりません。
また、核家族化の先に現在は「1人暮らし化」が進んでいると言われています。1人暮らしではもはや一軒家は不要であり、一方で安全性などに対するニーズが高まっています。このようなニーズに応える不動産企業だけが今後、不動産業界の中で生き残っていくと言えるのです。
②海外への展開が必要
2つ目の不動産業界の将来性に関わることは「海外への展開が必要」ということです。
不動産業界と言えば日本の不動産を扱うイメージが強いかもしれません。しかし、日本での不動産に関わる仕事だけを専門にしていては今後、不動産業界で立ち行かなくなる可能性もあるのです。
その大きな原因は次に紹介する日本の人口減少によるものです。多くの不動産業界はこの人口減少に備えてアジア諸国やアメリカなどといった国々への不動産ビジネスの展開を始めているのです。
③人口が減少していく
3つ目の不動産業界の将来性に関わることは「今後、人口が減少していく」ということです。
不動産業界にとっての一番の懸念材料は日本の「超高齢社会」「少子化問題」などです。人が少なくなれば必要となる不動産も少なくなります。不動産業界の企業数は減らないのに顧客が減っていけば業界内での顧客の取り合いは激化していくでしょう。しかし顧客の取り合いの先には業界的な進歩はなく、一部の企業が残るだけの未来が待っています。
このような状況にならないためにも不動産ビジネスのグローバル化や顧客ニーズに合わせた不動産の提案などを不動産業界の多くの企業が常に考えているのです。
不動産業界の研究結果を志望動機に落としこもう
ここまで不動産業界の業界研究についてご紹介してきました。
業界研究はファーストキャリアを決める新卒就活において非常に大切なものです。志望度の高い業界であれば必ず業界研究をし、知識をつけておくべきです。しかし、業界研究を終えて満足していてはいけません。その業界研究で得た知識を志望動機に落とし込む必要があります。そうすることで、不動産業界に就職できる確率が高まります。では、具体的にどうやって志望動機に落とし込めば良いでしょうか。
その答えについては以下の記事でご紹介しています。こちらの記事では、不動産業界の簡単な業界研究のおさらいと、志望動機の作り方についてご紹介しています。本気で不動産業界を目指す就活生の方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
なお、不動産業界向け志望動機以前に、志望動機の書き方がわからないという方はこちらの記事も併せて参考にするとより質の高い志望動機を作成することができるでしょう。
まとめ
今回は不動産の業界研究が難しい理由から、不動産の代表企業の位置付け、不動産業界の特徴などについて詳しく解説をしていきました。
不動産業界についての状況や今度の先行きなどについての知識を身につけることができたはずです。将来性という意味では他の業界に劣る部分がある一方で、不動産が扱う建物は人間にとって必要不可欠であるという強みも持っています。不動産業界の研究を進める中でしっかりと不動産業界の課題や将来的な見通しを持つことも大切ですが、不動産業界への憧れや魅力についても忘れないでください。今後、新たな業界とリンクをすることで可能性が開ける場合もあります。
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