みなさん、21卒の世代から就活が変わるって知っていましたか?就活ルールの撤廃を、ニュース番組で聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。何かが変わる、というのを聞いたことはあるけど、結局のところ具体的に何が変わるのかはよくわかっていない…という人もいるかもしれませんね。
ということで今回は、21卒から変わる就活ルールについて徹底総まとめしてみたいと思います。基本的なルールを理解できていないと、これから始まる就活そのものがままなりません。事前にここできちんと勉強しておいて、いざと言う時に困らないよう準備しておく必要があります。今回はそんな就活ルールの基本事項はもちろん、過去の歴史や質問集までまとめてみました!これからの未来に就活ルールはどうなるかも考えてみます。ぜひ見てみてくださいね。
・21卒から変わる!就活ルールの基本事項
それではここから、就活ルールの根幹となる基本事項についてまとめていきます。まだ就活を始めたばかりの人は、用語の意味もよく分かっていないかもしれませんね。これを読めば、頭の中の「?」がきっと消えるはず!
‐2018年、就活ルール廃止が決定
時は2018年10月9日。経団連が、21卒からの「採用選考に関する指針(就活ルール)」の廃止を決定しました。これによって、21卒の皆さんから就活が大きく変わるのではないか?と言われているのです。経団連とは、「一般社団法人日本経済団体連合会」の略。いわば、日本経済を司る大企業が集まった団体といった感じです。なんと、日本の代表的な大企業約1400社が所属しています。
そんな経団連の決定は、日本経済の動きをまるごと決めるほど大きなもの。だからこそ、今回の就活ルール撤廃は日本中で大きなニュースになったのです。
‐就活ルールってそもそも何?
でも、就活ルールって結局のところなんなの?そう思う人もいるでしょう。就活ルールとは、簡単に言えば「日本全体の新卒採用のルールを画一化する」もの。近年は、「大学3年生の3月に会社説明会が解禁され、6月に面接等の選考が解禁される」というルールが大きなものでしょう。このルール内容は年によって変化していて、時代の世相や世論に合わせて随時変更されてきました。
ただしこれは、経団連に所属している代表的な日系企業のみ。たとえば近年急増しているベンチャー企業や小規模な中小企業などは、これに縛られません。よって、上記のような企業は大学3年生の夏から秋にかけてからもう面接をスタートさせるような場合もあります。
‐学生の早期囲い込みを防ぐため
どうして就活ルールを制定したのでしょうか?それはとても単純な理由です。何もルールがないと、企業が学生を早いうちから囲いこんでしまい、就活そのものが早期化してしまうからです。大学2年生や3年生の初期から就活が本格始動してしまうと、大学生の本分である学業がおろそかになってしまうという懸念があるのです。
優秀な人材を早めに確保しておきたい企業側の気持ちは分かりますが、就活の早期化は学生を疲れさせてしまう恐れもあります。就活ルールは、学生を守るために出来た規則なのです。
‐今や形骸化している…
最初は学生を守るため、就活をより良いものにするために作られた就活ルールでしたが、今はあまり良い形で行われてはいません。ルールがあることそのものに企業も学生も慣れてしまっていますし、もはやルールを守らない企業も増えてきました。あってもなくても変わらないものになってしまったのです。
形骸化してしまった就活ルールは、改良するか形を変えるしかなくなりました。その結果、今回就活ルールの撤廃という決断に落ち着いたわけです。
・今まではどうだったの?21卒以前の就活ルールとは
ここからは、今までの就活ルールがたどってきた歴史を見ていこうと思います。そもそも就活ルールはいつから出来たのか?どんな変化を経てきたのか?意外と知らないものです。まずは就活ルールが誕生した瞬間から見ていきましょう。
‐1953年に就職協定がスタート
就活ルールの前身となる就職協定が作られたのが、1953年です。4年生の10月にならないと採用活動を開始できないという決まりを作ったのです。当時は朝鮮特需で、学生たちは引く手あまたでした。企業は今以上に良い人材を手に入れることに必死で、どんどん就活が早期化していったのです。
学生達に勉強する時間を与えるために政府が出した、苦肉の策でした。しかし、この就職協定を全部の企業が遵守するわけはないのでした。
‐1996年に就職協定が廃止
就職協定を制定したにも関わらず、このルールを破ってとにかく早く採用活動を始める企業が多発しました。これを、青田買いと言います。問題は、この青田買いをしているルール違反の企業を罰する規則がほぼないことでした。社名を晒される以上のペナルティは存在しなかったため、たくさんの企業が青田買いを行いました。
これでは、きちんとルールを守っている企業が損をしてしまいます。学生側としてみても、「結局就活ルールなんて意味あるの?」「守る企業と破る企業がいるなら、どっちを信じればいいの?」と悩んでしまうことでしょう。
この状況を良くするために、1996年に泣く泣く就職協定は撤廃されました。
‐代わりの倫理憲章が1997年スタート
撤廃された就職協定のかわりに、倫理憲章というルールが1997年にスタートしました。これは企業側が独自に設けた就活ルールです。倫理憲章の中には、卒業年の10月以降から正式に採用活動が開始できることなどが記載されていましたが、これを破る企業はやはり多発しました。
ただルールの名前と中身が変更しただけでシステムは変わっていないので、当たり前といえば当たり前です。結局、青田買いと就活早期化は終わりませんでした。
‐就活の早期化を防ぐため2003年改定
2003年、学業を重視させるために倫理憲章が改定されました。卒業年度の4月1日以前に選考を行わないことを定めた上で、経団連に属する企業へ署名活動を行いました。これによって以前よりは就活の早期化はマシになりましたが、まだまだ青田買いを続ける企業はいくらか存在しました。
このとき問題になったのは、広報活動に関する周知です。特に該当する記述がなかったため、多くの企業が早いうちから採用サイトをオープンさせました。大学3年生10月からエントリーができるようにしたため、学生によっては学業に支障が起きてしまう場合がありました。
‐さらなる早期化防止のため2013年、「採用選考に関する指針」に
そして2013年になり、倫理憲章は「採用選考に関する指針」と名前を変えます。安倍首相の方針で、学業に向けられる時間をより長くする要望を出したことから、経団連は就活解禁日や選考開始日を変更しました。大学3年生3月1日に就活解禁、大学4年生8月1日に選考開始と定め、これが基本ルールとして親しまれるようになります。
しかし、8月に選考開始となると学生の内定辞退が連発した際に企業側がなかなか対応できないという問題が発生しました。このことから、選考開始日を大学4年生6月1日に変更することもありました。
‐存在意義がなくなったため就活ルール廃止へ
これまでさまざまな試行錯誤を繰り返してきた就活ルールでしたが、今回でルールそのものの撤廃が決定しました。ここまで説明してきてわかることおり、何回形を変えたり改定したりしてきても、就活の早期化はなかなか直らず、最早存在意義をなくしていたからです。存在意義がないルールのせいで学生の間に意識のズレが生じたり、不公平を生むのならルールそのものを撤廃しようということですね。
・結局どうなる?21卒就活ルールの展望
それでは就活ルールが撤廃されたあと…21卒の就活は、いったいどんなかたちになるのでしょうか。就活スタートを正式に決めるものがなくなるということなので、不安になる人も多いはず。これからの就活の展望を見ていきたいと思います。
‐これからは政府主導に
就活ルールがなくなった今、就活生を束ねるのは政府となります。以前のように経団連が就活のトップに君臨し続けることはなくなります。これまでにも何度か政府で会議が行われており、21卒のみなさんがスムーズに就活が行えるように意見交換がなされています。
経団連に属していない中小企業やベンチャー企業、外資系企業にとって就活ルールは関係ありませんでしたが、これからは日本国内のどの企業も政府主導で就活が進むことになります。
‐とはいえ日程は前年と変わらず
政府主導になったからと言って、すぐに就活が変化するわけではありません。現に、政府の会議では「現行と同じ日程・ルールで就活を進めること」がほぼ内定しています。就活ルールが撤廃されると言っても、その代わりとなる素晴らしい案が生み出されたわけでもありませんし、日本に根付いた就活の常識を1から壊すのは難しいでしょう。
海外のように、各企業が学生を自由に採用できるようなスタイルにすぐシフトするわけではないのを覚えておいてください。
‐これまでは対象外だった業界も日程を揃えるように要請
先ほども言ったように、これまで経団連に所属していなかったため比較的自由に採用を行えていた企業も、これからは政府の主導に従うことになります。「就活ルール」なのにそのルールが適用されない業界があるという矛盾がこれからなくなるのは、スッキリしていいかもしれませんね。
日本中の全企業が統一された空気感と規則の中で就活を進めることができたら、学生側も安心感が増すかもしれません。
‐来年度以降はまた話し合いを重ねる
それでは、22卒以降の就活はいったいどうなるのでしょうか。単刀直入に言うと、「今までと変わりません」!今突然就活スタイルを変化させてしまうと学生が混乱してしまいますし、企業側の対策も追いつきません。来年度以降は話し合いを重ねるということにはなっていますが、大きな変化はないでしょう。
まだ具体的な方策が決まっている訳ではありませんが、「ここ数年しばらくは、例年通りの採用システムを取る」という意見でほぼ全員が賛成している様子です。何十年と時が経てばシステム自体に変化があるかもしれませんが、今は心配しなくていいでしょう。
‐先輩達より早め・本気で就活に取り組むべき
だからといって、「先輩達と同じ感じで就活すればいいのかな~」と思っていると絶対に失敗します。ほぼ中身に変化はなくても、「就活ルールが撤廃された」という事実は変わりません。そういう「変化の時代」に凡庸な学生像のままでいると、良い企業から声が掛かるような人材にはなれません。
周りの友達と差をつけるためには、絶対に「早く取り組むこと」を意識しながら対策に進む必要があります。早く本気になった者が希望を叶えられるのが、就活です。
・21卒必見!就活ルールQ&A
それでは最後に、就活ルールに関する質問とその答えをまとめていきます。何かわからないことがあったとしても、これを読めばきっと悩みがなくなるはず!心をスッキリさせて、就活準備対策に進んでください。ここでは、5つの質問をピックアップします。
‐就活ルールってそもそも守られてるの?
これは完全に企業によって異なります。誰もが知るような大企業なら世間からの注目度や監査の厳しさも桁違いなので、きっちりと就活ルールを守っている企業がほとんどです。でも、中小企業の場合、経団連に所属していながらも就活ルールを破りながら青田買いをしているケースが非常に多いです。
就活ルールは守られないもの。そういう認識が国民の中に根付いてしまったのが、今回のルール撤廃の理由のひとつなのです。ちなみに政府主導になった現在も、ルールを破った場合のペナルティは特にありません。
‐近い将来、就活の形式そのものが変わる可能性は?
ここ数年で変化することはないと思われますが、10数年~数十年の長い期間をかけて自由採用型の新卒採用スタイルに変化する可能性は十分考えられます。つまり、今この記事を読んでいる皆さんが実際に選考を受ける時に、選考スタイルが変化する可能性はないということです。
日本人はもともと保守的な性格ですから、数十年経っても何も変化がない未来も考えられます。いずれにしても、自分の実力が試される実力主義社会になることは間違いありません。
‐また就活が早期化しない?
なにもルールがないとなると(結局は以前のルールを使い続けるので、「ルールがない」わけではありませんが)、そういう恐れもあります。
しかし、今までの就活ルールの歴史を辿ればわかるように、政府も経団連も「早期化を防ぐために」さまざまな改善をしてきました。すべては、学生が学業に専念できるようにするためです。もしもこれからまた就活が早期化&長期化する恐れがあったら、また政府や経団連がなにか策を打ってくれるはずです。
‐学業と両立できるか不安
これは、就活生全員が抱える悩みです。でも、意外と最初に心配しているほど大変じゃなかった!というのがよくある話です。コツは、「就活する日」と「就活しない日」をきっちりと分けること。どちらも同じ日にスケジュールを詰めると、両方中途半端になって二兎を追う者は一兎をも得ず状態になってしまうかもしれません。
授業やゼミを入れる日は1日にぎゅうぎゅうに詰めて、その日は就活のことは全く考えない!逆に、就活をする日は勉強のことは考えない。このスイッチオンオフの切り替えが大切なのです。心がけてみてくださいね。
‐就活ルールについて面接で聞かれたりしない?
ほぼ聞かれないと思っていいでしょう。なぜなら、就活ルールについて質問しても採用にあまり関係ないからです。話題も広がりませんし、企業にとってあまりいい質問ではありません。
ただし、一般常識やマナーの問題として口頭試問や小論文で出題されることはあります。現在の就活が抱えている問題とはなにか?それを答えられるようにしておくと、いざ質問された時に安心かもしれません。
・おわりに
さて、いかがだったでしょうか。就活ルールという言葉や関連ニュースを聞いたことはあっても、なかなか深い情報を知ることはないかもしれませんね。でも、1人の就活生として知っておいた方がいい情報なのは確かです。企業も、知識がないよりは知識がある学生を採用したいと思うはず。
何から覚えればいいのかわからない!という人は、ひとまず今回ご紹介した情報だけでも頭に入れておくことをおすすめします。今の就活の現状を客観的に見つめられる人は、自分自身の就活も上手く進めていけるはずです!志望通りの企業から無事に内定がもらえるように、ひとつひとつの作業を丁寧にこなしていってくださいね。
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